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少年少女の戦極時代・アフター
After19 前哨戦
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 ざっ、ざっ、と土と草を踏みしだく音だけがしていた。

 咲に気づかれない程度に視線を流す。

 咲の顔は強張っている。緊張しているのだろう。ロード・デュークとこれから戦うかもしれないから、というだけではなく、未知の惑星に立っていることそのものに。
 そこまで悟って、しかし、戒斗は咲に声をかけなかった。
 咲が自分から何も言わないのだから、他人の下手な励ましや慰めなど欲しがっていないのだろう。

 しばらく歩いて、戒斗たちは開けた場所に出た。

 そこには、森にあるにはそぐわない、何かの砲台らしき兵器が据え付けられていた。
 ドームから伸びる砲口は空に向けられている。それだけのシンプルな外観だ。

「ひょっとしてこれ、舞さんを撃ったレーザーの発射台とか?」
「大いにありうるな」

 戒斗は砲台を軽く撫でた。当然だが、冷たい金属の感触がした。

(ここまで密林が続いてきたんだ。おそらくこの星は全体がヘルヘイムの森に近い環境で、こういった機械文明は発展してないと考えられる。ないはずの技術。持ち込んだとしたら、ロード・デュークという線が一番濃い。奴もこの星にとっては異星人か? ――いや。小難しいことを考えるのは別の奴の役目だ。今はただ進むだけだ)

 戒斗は踵を返した。
 咲が慌てたように小走りで付いて来た。

「あれ、もっと調べなくていいの? ヘキサに乗り移ってるけど、舞さんのバリア、はね返した兵器だよ?」
「ああ。おそらく俺が食らった対インベス用の矢と同じ造りだろう。だが、今は舞たちと合流するほうが先決だ。舞の案内がなければ右も左もないからな」
「うーん。まあ、戒斗くんがそう言うなら。紘汰くんも心配だしね」

 咲の口を突いて出た葛葉紘汰の名に、ちり、と何かが体内で焦げついた気がした。

「どしたの? ヘンな顔」
「元からこういう顔だ」
「えー、そうかなあ」
「――咲」

 戒斗は足を止め、ふり返って咲と正面から向き合った。
 咲は小首を傾げて戒斗をまっすぐ見上げている。

(警戒心がなさすぎる)

 その咲に、前にバスターミナルでしたように頬を指先で撫ぜ、顔を近づけ――

「戒斗、咲ちゃん、無事!?」

 草を掻き分けて舞と光実が現れたことで、盛大に肩透かしを食らった。

「舞さん! 光実くん!」

 わーい、と咲は舞に抱きついた。本人はヘキサに抱きついたつもりなのだろうが。舞も舞で、コドモに懐かれて嬉しいのか、ほややんとした顔で咲を抱き返している。

「無事合流できて何より。そうだ。僕たち、ここに来るまでに例のレーザー兵器の本体を見つけたんです。また舞さんや、紘汰さんを狙い撃ちされるなんて許せないんで、変身して壊しておきました」

 光実は満面の笑みだ
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