ep-1─それは突然に舞い降りて
#01
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あるのだろうが……。
故に。
「レン君、かい?」
「……! ……ルークか?」
二年ぶりに、偶然街角で旧友と出会った時も、特に歪を感じる事無く会話に入ることができた。
ルーク・アルヴァート。白い髪とコートを纏った、常に笑みを浮かべたこの青年の名前だ。レンとは四年前、ルークが一時期だけ兵役していたころに知り合った。
「久しぶりだな……元気にしていたか?」
「そっちこそ、久しぶり。……元気だよ。おかげさまでね」
微笑むルーク。
「そうか……妹と二人だけじゃぁ、大変だろう」
そう返して、レンは彼にしては珍しく、いたずらっぽい笑みを浮かべた。戦場では鬼の様な強さを見せるルークだが、妹のフィアーネに対しては死ぬほど甘い。俗に言う『シスコン』という奴だろうか。
苦笑して頬をかくルーク。
「まぁ……昔からそうだったしね。というか、君の方が大変だっただろう……災難だったね」
神妙な顔でうつむいたルーク。彼はかつてのレンの仲間たちとも面識があった。それだけに、彼らがもういない、という事が、友人思いのルークには辛いのだろう。
「……お前が気にするなよ。全部俺の仕業なんだから」
「君もそう自分を卑下するなよな。ユメさんから、あの状況じゃぁ、仕方なかったことなんだ、って聞いてるよ」
ルークが口に出したのは、レンの旧来の知人の名前だった。のうりに、おせっかい焼きの少女の姿が映し出されてしまう。
「アイツ……」
──そんな事を。
それを「余計な御世話だ」と言いたくなる気持ちもあるが、同時に嬉しくもあった。誰もがレンを「仲間殺し」とののしっていた時期さえあるのだ。今ではさっぱり気にならないが、当時は苦痛に感じていたことを覚えている。
それだったら、世話を焼かれた方がマシだ。
「今度会いに行ってあげなよ。君が釈放される、って聞いて楽しみにしてたよ」
「やめろ。そんな仲じゃない」
「言うねぇ。……っと。買い物に行くところだったんだ。じゃぁ、僕はこれで」
「ああ。引き留めて悪かったな」
ルークと別れ、薄らと暗くなり始めた街を歩く。
思いのほか自然と、『その道』をたどることができた。段々と当たりの風景が簡素で味気ないモノになっていく。その中で見えてきたのは、簡素だけけれどもきちんとした造りの一軒家。
かつて、レンと仲間たちが使っていた家。今、戸籍上だけでもあそこに住んでいるのはレンだけだ。ほかは、皆死んでしまった。
金だけは軍部の方が払っていてくれたらしいので、差し押さえられたものはない。
「……家具を、片付けないとな」
もう、要らなくなってしまったモノならあるのだが。
とにかく、今日は休んで、明日から今
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