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超越回帰のフォルトゥーナ
ep-1─それは突然に舞い降りて
#01
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う、するんだろうな……もう軍役は出来ないだろうしな……まぁ、ゆっくり隠居でもするさ」
「はっ、羨ましい限りだな」

 この二年間の間に、色々なことが変わった。おそらく、レンが現役だったころとは、上層部も含めて様々な部分が様変わりしている事だろう。新しい戦術や兵器、仲間たちに、すぐに慣れることができるとは考えていない。

 現役時代は誰もが親しみやすい男、として慕われていたらしいが、レン自身は自分が何とかしなくては、という責任を感じてはいても、決して自分は世話上手な人間ではない、と思っていた。

「ともかく、もう二度と戻ってくんじゃねぇぞ」

 収容所の出口近くまで来ると、看守が珍しく泣き笑いの様な表情を取りながら、そう告げた。

「おっさんこそ……もう俺みたいなのに構って、処罰されるなよ」
「おいおい、おっさんはひでぇな。俺はまだ二十代だ」
「……」

 さすがのレンも呆然としてしまう。いや、まさか二十代だとは夢にも思わなかったのだ。てっきり四十を過ぎているモノかと。

「じゃぁな──死ぬなよ」
「……ああ。この恩は、いつか返す」

 そう、看守へと告げると。

 レンは、二年ぶりとなる帰路へと、足を踏み出した。



 ***



 既に空は夕暮れの朱に染まっていた。この空をまともに見るのも、一体何時ぶりだろうか。ゆったりとした足取りで、レンは舗装された道を歩いて行く。
 
 街角の街灯が、白い光をともし始めている。そうか、もうそんな時間なのか、と内心で一人ごちて、俗世とずれてしまった感性を、早く取り戻さなければならない、と直感した。

 思ったよりも変わっていない。街の風景を見て、思ったことはそれだった。この二年で、何もかもが変わってしまったのかと思っていたが、それほどでもないらしい。見慣れた建物や道路が大半を占める。

 だが、それでも戦火の後は所々に残る。知らない建物もある。何より、工事現場で動くとあるヒトガタの機械を見た時に、レンは大きく驚いた。

「《アバンダン》……! ワーカロイド型が実装されたのか……」

 嘗ては真紅だったボディは、今は純白に染められている。バイザー型の頭部レンズの奥に光るカメラアイは変わらないが、露出していたはずの関節は、最低限の動きしかしなくて良くなったからだろうか。少し装甲の量が多くなった気がした。かつての戦場を蹂躙して回った武器の多くは、今や工業用の重機へと取り換えられている。

 名を、《戦闘騎械(アバンダン)》。
 
 八年前から続いた『あの戦争』で、兵士としてのシェアを二分した、強力な戦闘機械だ。軍部が有しているというとある一つのAIから取り出されたデータ。それを利用して生み出された、汎用性に長けたロボットで、様々な武器
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