第四十話 木山先生を見送って
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で、『いい人』という評価をしているわけだが、俺は『有能な研究者』という程度でとどめておいた。実際、レベルアッパーを制作できるほどなのだから、学園都市でもそこそこの有能な研究者と言って良いのだろう。
「それは、私のことかな?」
『ぎゃーっ!!』
噂をすれば影、ご本人のまさかの再登場に俺と御坂さんが驚きの声を上げる。いや、悲鳴と言った方が近いかもしれない。
「な、な、なんで居るんですかっ!?」
驚きすぎたのだろうかテンションがおかしいまま御坂さんが木山先生に尋ねる。もしかして、さっき危惧したように車を止めた場所が分からなくなったのだろうか。
「いや、能力開発に関する論文が載った雑誌を車の中に見つけたので持ってきてみたのだが……。特に君は、レベルアッパーがあれば使ってみたいと思っているくらいには能力を伸ばしたいのだろう?」
どうやら車はちゃんと見つけていたようで、上着と一緒に持っていた一冊の雑誌を一度皆に見えるように取り出してから、木山先生はその雑誌を佐天さんに差し出した。というか、一度車に戻ったのなら上着は置いてくれば良かったのに……。
「えっ……ま、まあ……」
木山先生から雑誌を渡されて呆気に取られたまま佐天さんが答える。木山先生の持ってきた雑誌は学園都市内なら普通に誰でも買える部類の物で、学者や研究者なら勿論、長点上機や霧ヶ丘、それに常盤台といった学校の先生や、勉強熱心な生徒などなら読んでいてもおかしくはないといった程度の物である。
「ならこれを読んでみると良い。能力を伸ばすための足がかりになるかもしれない」
「あ、ありがとうございます……」
木山先生に勧められて佐天さんがお礼を言って雑誌をパラパラとめくっている。それを見て思ったのだが、どうやら木山先生はこの雑誌を近くの店で買ってきたようだ。佐天さんが雑誌をめくった時にそれまで誰かがめくった跡が付いていなかったこと、そしてさっきも思ったがもし車に戻ったのだとしたら上着は置いてくれば良かったわけだし、それ以前に車でここに来れば良かったのだから、恐らく車の中で見つけたというのは佐天さんに気を遣わせないためのものだったのだろう。
「それでは今度こそ失礼するよ」
「あ、はい。お疲れ様でした」
先ほどと同じようにまた片手を上げて颯爽と去って行く木山先生を見送る。
「はぁ〜……びっくりした……」
木山先生の姿が見えなくなって俺は胸をなで下ろす。
「何で気配に気付かなかったのよ?」
ほっと一息ついた俺に御坂さんが聞いてくる。まぁ、当然と言えば当然か。
「完全に気を抜いてたわ。普通なら10mぐらいは分かるし集中したら50mぐらいまでは分かるんだけど、さっきは5mにも満たないくらいの範囲でし
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