第十一話:二刀流/是、射殺す百頭
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ネを振り抜く。
「グルルルルル……」
怯み、唸り声を上げた悪魔。その隙を逃す訳にはいかない。
巨大な斧剣に光が灯る。
「合わせろ、クライン!」
「おおよ!」
紅い光を引いて、最重量の斧剣が最速の軌道を以って悪魔を斬り捨てる。刀専用最上位ソードスキル『散華』。
前後二対の五閃が直撃し、堪らず悪魔は苦悶の悲鳴を漏らした。
「スイッチ!!」
黒の剣士が、仰け反った悪魔の隙を逃すはずもない。
スキルディレイに身体を縛られているレンの隣を駆け抜け、キリトは悪魔の正面へ踊り出た。
ノックバックから復帰した悪魔が大きく剣を振り被る。
空気を斬り裂き、炎の軌跡を引きながら打ち下ろされてきたその剣を、キリトは愛剣であるエリシュデータで弾き返し、そして、間髪いれず左手を背に回し、新たな剣の柄を握った。
抜きざまの一撃が悪魔の胴へ吸い込まれる。
「グォォォォォ!!」
黒のエリシュデータ。そして、それと対になるような純白の剣。
対照的な色彩の二刀を以って悪魔の斬馬刀を受け止め押し返す。
かくて、二刀の剣舞が始まった。
右の剣が中段を薙ぎ払う。間を空けずに左の剣を突き入れる。右、左、また右。視界に捉えるのがやっとの速さで、黒の剣士は二刀を振り続ける。
これこそ、彼が今まで隠し通してきた奥義中の奥義。レンのような模倣ではなく、正真正銘の《二刀流》。
そして舞うようなこの剣技の名は、《スターバースト・ストリーム》。連続、十六回攻撃。
「うおおおおあああ!!」
途中の攻撃が幾度か悪魔に阻まれる。だが、黒の剣士はそれを意に介さず、ただより速く剣を振るうことのみに専心する。彼の目が捉えているのは最早敵である悪魔のみ。弾ける金属音も、舞い散るライトエフェクトも、彼の意識からは排除される。
「………ぁぁぁああああああ!!」
未だ嘗て聞いたこともない程の怒号を響かせ、そして最後の十六撃目が、悪魔の胸を貫いた。
だが。
「ゴォォォアァァッ!!」
「届か…ない…!」
黒と青。鮮やかな剣の乱舞は、十六という常識の埒外の数の剣閃を以って終幕を迎えた。
しかして、敵に倒れる様子はない。その身に十六の裂傷を刻まれようと、輝く目を持つ悪魔は手にした斬馬刀を高々と振り上げた。
「グルルルルラァァァ!!」
それは憤怒の咆哮か。これまで自分を斬りつけた剣士に対する抑えられぬ怒り。
否、もしかしたら勝利の雄叫びだったのかもしれない。
けれど、その一瞬の停滞。それが、黒の剣士の命を救うこととなった。
「ぐっ…!」
スキルディレイにより体が硬直状態にあるキリトでは避けえぬ斬撃。さ
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