第十一話:二刀流/是、射殺す百頭
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だ」
「ほんとに、所構わずイチャイチャベタベタして」
叫ぶ鎧武者を無視して頷きあう二人に、キリトとアスナは顔を真っ赤にさせる。早くも場は混沌としていた。
「まあ、それは置いといてだ。久しぶりだなクライン」
「おうよ。お前の活躍はどこにいても聞こえてくるぜ」
「大した事はしてないさ」
紅い鎧に、趣味の悪いバンダナを頭に巻いた野武士はギルド《風林火山》のリーダーであるクラインは、その無精髭の生えた顔を破顔させる。
彼の後ろにいるのは風林火山のメンバーだろうか。
「レン、《軍》がきたよ!」
和気藹々とした空間の中で、ユメの言葉に場の緊張が高まった。
十中八九、迷宮区前で見た軍の部隊だろう。鉢合わせると色々と面倒だが、生憎とここらに隠れられる場所はない。
やがて鎧が擦れる音が響き始め、変わらず二列縦隊で行進する軍隊が現れた。
安全エリアの丁度反対側で、その行進は止まった。指揮官らしき男が指示を出すと、余程疲労が溜まっているのだろう。残り11人が床に倒れるように座り込んだ。
そんな部下の様子には目もくれず、指揮官と思しき男はこちらに近づいてくる。
「私はアインクラッド解放軍所属、コーバッツ中佐だ」
ヘルメを外した長身の男は、警戒の視線を向けるアスナ達を一瞥して先頭に立っていたレンに名乗りを上げた。
そもそも、《軍》というのは集団外部の者が揶揄的につけた呼称のはずだったが、何時の間にか正式名称になっていたのか。
レンはついこの間まで軍が支配する黒鉄宮に幽閉されていたから知っていたが、クライン達は怪訝な表情を浮かべていた。
「神の盾所属のレンだ」
短く名乗ったレンに、男は軽く頷いた。
「君らはもうこの先も攻略しているのか?」
「ボス部屋の手前まではマッピングしてある」
「うむ。ではそのマップデータを提供して貰いたい」
さも当然のように。このコーバッツという男は傲岸不遜にそう言い放った。
「な…て…提供しろだと!? 手前ェ、マッピングする苦労が解ってて言ってんのか!?」
クラインが胴間声で喚く。
しかしその反応は当然のものだ。
未攻略区域のマップデータはこの世界に於いてかなり貴重な情報だ。トレジャーボックス狙いの鍵開け屋の間では高値で取引されるほどの。
しかし、この男はどこまでも傲慢らしい。
クラインの声を聞いた途端、片眉を僅かに動かし、顎を突き出すと、
「我々は君ら一般プレイヤーの解放の為に戦っている!」
エリア全体に響く大声に、顔を顰める。
「諸君が強力するのは当然の義務である!」
正に傲岸不遜。呆れて物も言えないレンだったが、他は違うようだった。
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