第十一話:二刀流/是、射殺す百頭
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気味な暗闇。部屋へ入り込んで、四人は互いに背を預けあい四方を警戒する。
「なにも、ない…?」
暗闇に耐え切れず、ユメがそう口にした途端だった。
入り口から僅かに離れた床の両側に、ボッと音を立てて青白い炎が燃え上がった。そこからは、凄まじい早さで周囲の炎が灯っていく。
薄青い炎に照らさらた空間は予想よりも狭く感じられた。しかしそれは直ぐに間違いだと判断する。
なぜなら、激しく揺れる青炎の向こうから、徐々に巨大な姿が出現しつつあったためだ。この部屋の圧迫感はその巨大な影によるものに違いない。
見上げる程大きな体躯は、全身が鋼のような筋肉に覆われている。肌は青炎に負けぬ深い青。頭部は人間のものではなく、両側から突き出ている捩れた角を見るに、羊だろうか。こちらに向けられる瞳は青白く輝き、眠りを妨げた侵入者を敵意を持って見据える。
その姿は、正に『悪魔』。そしてその名は、《The Gleameyes》????つまり、輝く目。
そこまで読み取ると、突如として青い悪魔は雄叫びを上げた。それは謂わば開戦のゴング。手に持った巨大な斬馬刀を振り上げて、悪魔はこちらへ疾走を開始した。
「に、逃げるんだよぉぉぉ!」
「あ、こらユメ!抜け駆けするな!」
「そんなこと言ってる場合じゃないよ、キリト君!」
「ふむ、こんな時もアスナはキリトの裾から手を離さず、か」
「レン君も、そんなこと言ってる場合じゃないいいい!」
ちゃっかりとソード・ダンサーで悪魔を牽制しつつ、四人は踵を返して全力疾走を開始した。
それぞれが鍛え上げた敏捷パラメータ限界までの本気逃走。
元々それほど俊敏な設定ではないのか、青い悪魔がそれに追い付く事はない。
あっという間に入り口の扉に辿り着いた四人は、ユメから順に外へ転がり出る。
「置き土産だ。存分に喰らえよ」
だがレンは直ぐに出ず、出口を背にしてソード・ダンサーで浮遊する剣軍を束ね始める。
やがて巨大な剣と化したそれを、投剣スキルを以って悪魔に向けて投擲。
「グルラァァ!?」
予想外の攻撃を受けた悪魔は、胸に擬せられた巨大剣の重みに押されるように突進を止めた。その様を見て、レンはボス部屋を後にする。
「……恐れを知らないな、お前」
「キリトには言われたくないな」
† †
「あはは、やー、逃げた逃げた!」
「ちょ…アスナっち、早すぎ…げほっ」
ボス部屋から一心不乱に逃げ続けて暫く。何度かモンスターにターゲットされるも、それすらも振り切って四人は安全エリアに指定されている広い部屋に逃げ込んでいた。
「……」
「どうした、レン?」
「いや、オレももう少し敏捷度を優
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