第14話
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恋と音々音の二人が仕官してから数日後、荊州から太守代理兼袁術の教育係を担っている張勲が袁紹を訪ねて来ていた。
「初めてお目にかかります袁紹様、張勲でございます。」
「うむ、遠路はるばる良く来てくれた。荊州の様子はどうだ?」
本当なら妹の事が聞きたいところであったが、袁家当主として荊州の様子を優先的に聞いた。
「大変順調ですよ、袁紹様考案の警邏番のおかげで治安も良いです。」
「それは重畳、……して我に反する者達は」
「そちらはあまり芳しくないですね〜、荊州に送られた者達のほとんどが反袁紹様派でしたから、確執が取れるのはまだ先です。」
「そうか……」
袁家当主として様々な問題を解決してきた袁紹だが、この先の黄巾賊に備え反袁紹派は全て張勲に任せているため、現時点では彼女の采配に期待するしかなさそうだ。
「あ、そういえばお嬢様から手紙のお返事を預かってますよ〜」
「おおっ!見せてくれ!!」
暗い話題を払拭させるかもしれない妹の手紙に袁紹は食いついた。
内容は袁紹の手紙に書かれた事を答えた簡単な物であったが、代書人に書かれた丁寧な文字を眺めながら袁紹は顔をほころばせる。
(あらら、凛々しかった表情をあんなに崩して、会ってもいないのにシスコンとかドン引きですね〜)
自分を棚に上げた張勲は、兄妹二人を会わせたら自分が袁術を愛でる時間が少なくなるのを危惧していた。
(やっぱり会わせたくないですね〜、何だかんだ単純なお嬢様はすぐに懐きそうですし)
「手紙の内容がやたら丁寧だが……」
「それは、袁紹様にお返事の手紙を出すにあたって失礼が無いように、私が一緒に内容を考えたからかと」
思考中に声を掛けられたにも関わらず返事を返す張勲、
「なるほどな、本日は大変ご苦労であった。ここでしばらく体を休めた後戻るのが良かろう。」
「いえ、それには及びません、お嬢様を長いこと放っておくわけにもいけませんので」
「左様か、では些細ではあるが物資や資金等を土産に持っていくと良い」
「いいんですか?ありがとうございます〜」
「蜂蜜も積んである故、妹によろしく頼む」
「それはお嬢様が大変喜びますね!宜しくされました〜」
………
……
…
張勲が出て行った謁見の間の扉を見続ける袁紹、その顔は若干険しい様子だった。
「麗覇様、あの者が何か?」
その様子に違和感を感じた桂花が質問する。ちなみに斗詩達武官は訓練中で、音々音は別室で勉強中である。
「張勲に違和感を感じてな」
「違和感……ですか?」
その言葉に首を傾げる桂花、彼女には張勲の対応が完璧に見えていた。
「いや、きっと気のせいだろう。彼女は父上たちが見出したの
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