五十七話:揺ぎ無き信念
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され、その身を焼かれていく。魔法陣はルフェイが、戦闘が始まった直後から用意しておいた物だ。発動までに時間がかかるのが難点だがその威力は折り紙付きだ。
「ルドガーさん! 美候さん!」
「任せろ!」
「おう!」
ルフェイの声に威勢よく答えた二人が一気にたたみかけるためにヴィクトルの元へと駆け出す。ヴィクトルは手傷を負ったものの、持ち前のタフさから直ぐに体勢を整えて二人に相対する。まずは美候が八人に分身して数で押していく。苛烈な猛攻の前に守勢に回らざるを得ず、苦々しげな顔をしながらも猛攻をさばいていくヴィクトルは流石と言う他ないだろう。
「私の存在を無視されるのは困るにゃ」
だが、相手の攻撃はそれだけに終わらず、守勢に回っているヴィクトルの背中に向けて遠距離から黒歌が仙術と妖術を混ぜ合わせた青白い波動弾を放ってくる。目の前の美候達のせいで満足に回避することも出来ずにヴィクトルは攻撃をもろに受けてよろめいてしまう。そこにチャンスとばかりに美候達が一斉に襲い掛かってくるがヴィクトルは何とかすぐに持ち直して逆に敵の半数をハンマーで吹き飛ばしてしまう。
「痛って! やっぱこの程度じゃやれねえか」
その中には本体の美候も入っていたらしく三体が消えて一人が残っていた。吹き飛ばされなかった他の四人は本体が戻ってくる時間を稼ぐためにヴィクトルを囲い動けないようにする。ヴィクトルは油断なく周りを取り囲む美候達と周囲を見渡して、ふと、あることに気づく。
ルドガーの姿が先程から見えないのだ。同時に自身に影がかかるのを察知してまさかと思い、急いで上空を見上げる。するとそこには長刀の切っ先を真っ直ぐこちらに向けた状態で腕に力を込めて突き出そうとしているルドガーの姿があった。ヴィクトルはその構えがなんであるかをよく知っていた。それは王の技―――
「食らえ、覇道滅封!」
「グゥゥッ!?」
長刀が突き出された瞬間、刀身から圧縮された赤い闘気が解放される。解放された闘気は立ち塞がるもの全てを滅ぼし封じる、覇道を体現するかのように一直線にヴィクトルを貫く。咄嗟に双剣でそれを受け止めるが堪え切ることが出来ずにヴィクトルは吹き飛ばされて倒れてしまう。だが、この程度では終われないと言わんばかりにヴィクトルは血の混じった唾を吐き捨てながら立ち上がり『サイカトリス』を使って回復する。
「ガイアスの技も使ってくるとはな……ただの真似ではないな」
「ああ、これは“みんな”との旅の記憶を思い出した後に至った
禁手……揺るぎなき信念との絆だ」
「ジュード達の技を借り受けているのか。ふふふ……懐かしいな。だが……忘れたのか? どこの誰が彼等を―――殺したのか」
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