五十七話:揺ぎ無き信念
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いわぁ。もっと、もっと踊りましょう」
「先程の言葉は訂正させてもらおう。手のかかる女性は嫌いだ」
「悲しいこと言わないで、楽しみましょうよ」
「なら、今度は私がリードさせてもらうとしよう」
足と腕に骸殻を発動させ、飛んでくる魔力弾を槍で払いながらヴァーリの元にまで飛び上がって行き、彼女の胸目掛けて容赦なく槍を突き立てようとするヴィクトルだったがその槍の切っ先は彼女の胸に届くことは無かった。何故なら彼女が切っ先を両腕で抑え込みながら槍を押し返そうとしていたからだ。
だが、彼とて一歩たりとも引くことはしない。雄叫びを上げながら全身に力を入れ直し、一気に押し切ろうとする。その力は炎に姿を変えて彼女を焼き尽くさんと襲い掛かるが、その程度で怯むような軟弱な精神などはしていない。彼女は負けじと気力を振り絞り押し返す。両者共そのままの状態で拮抗するかと思われたが、突如として均衡は崩れる。
「少し小細工を使わせてもらおう」
「この状況で槍を踏み台にしたっていうの!?」
ヴィクトルが槍から手を離したかと思うと、すぐにその槍を踏み台に変えて縦に回転しながら飛び上がり驚くヴァーリの後ろへと回り込んできたのだ。しまった、と思うヴァーリだったが先程まで全力で押し返していたために振り返ることが出来ずに彼に無防備な背中を晒してしまう事になる。
「落ちろ!」
「クッ!?」
落下による重力と回転による遠心力の恩恵を受け威力を高めた蹴りをヴァーリの光翼目掛けて勢いよく叩きつけるヴィクトル。さらにヴァーリに当たる一瞬だけ足に骸殻を発動させて破壊力を最大限にまで高める。それをまともに食らわされたヴァーリは地上へと勢いよく落下していく。
だが、彼女とて簡単にやられてやる気はない。すぐに持ち前のセンスで体勢を立て直そうとする。しかし、どういったわけか自身の翼が上手く機能せずに結局、為すすべなく地上へと叩きつけられる事になってしまう。
『ヴァーリ、先程の攻撃で翼が欠損した。今の状態で相手から力を奪えば暴発しかねんぞ』
「そう……狙ってやられたわけね」
「白龍皇ほど有名な物は逆に対策も立てやすいのでね」
「うふふふ……そう、そうね」
遅れて地面に降り立ったヴィクトルが皮肉気に告げてくるがヴァーリは特に気に留めたようなそぶりも見せずに笑い声を上げる。ヴィクトルは訝しげに眉をひそめるが直ぐに何故笑っていたのかを悟って立っている場所から逃げ出そうとする。しかし、それは間に合わなかった。
「これが私の全力です!」
「グウゥッ!?」
辺り一帯に巨大な魔法陣が浮かび上がりそこから無数の極太のレイザーの様な光の光線が縦横無尽に噴き出てくる。ヴィクトルは光線に対して受け身を取ることも出来ずにくぐもった悲鳴を上げながら吹き飛ば
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