第二十二話。選択の時
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し……早朝にキリカさんとイチャイチャしたかと思ったら、夢の中では本物の音央さんとイチャイチャし、んでもって今は妖精の音央さんとイチャイチャするために説得中ですか……節操ありませんね、ほんと」
グサッ、グサッと茨ではない痛みが俺の背中に何度も感じた。
何故だろうか?
茨の刺はたいして痛く感じないのに、この背中の痛みは妙に痛く感じる。
「浮気ばかりしてると刺しますよ?」
「刺されても止めらないな。浮気は文化だからねっ!」
ザクッ!
鋭い痛みが襲ってきた。
今までで一番の痛さだ。
「このスケコマシ野郎!」
「……そんなわけで手伝ってくれ」
「うわっ、否定しやがりませんね」
ハァ、と溜息が背後から聞こえた。
浮気は止めらない、などと言ったが……この背後を守ってくれる少女には感謝と申し訳なさが浮かんでくる。
「それで、どうしますか?」
一之江はあくまでいつも通り、冷静に尋ねてきた。
「この本物の音央さんを私が殺せば『神隠し』は滅び、既にみんなに認識されているあちらの『音央』さんが戻って来ます。私には『確実に抹殺する』という逸話があるので、例え神隠しだろうが神だろうが殺してみせます」
「……ああ」
一之江がこう断言するのは、より『そう在る』為だろう。
だから彼女は何が何でもどんな相手だろうが殺してみせる。自分が強くある為に。
「ですがその場合、ご本人であったこの方はもちろん消滅です。跡形も、記憶すらも誰の中にも残りません。
______もっとも、この方が消しまくった方々にしてみると、ある意味当然の結末ではありますが」
一之江のその言葉で確信した。
ああ、そうか。
彼女はわざと煽っているんだ、という事に。
彼女は音央がどういう『罪』を犯したのか、その『罪』にあったどんな『結末』を迎えるべきか、俺に示しているんだ。
「ちなみにこの方を殺さずにここを出た場合『神隠し』は残り、あちらの『音央』さんはまたこの事を忘れ……また『神隠し』が発生します。事件は終わる事なくいつまでも続くでしょう」
「……そうか」
前方の音央、後方の音央。
どちらからも苦い気持ちが伝わってきた。
「どちらにしますか?」
「解ってて二択にするのはやめような、一之江」
「解っていたから二択しか出したくなかったんです」
俺と一之江はお互いだけが分かり合える含んだ言葉を言いあった。
俺も一之江もとっくに選ぶべき『結末』は決めている。
なのにこんな確認をしたのはほとんどわざとだ。
……自分達が下した決断がどういう意味を持つものか。
それをお互いに再確認するための、通過儀礼みたいなものだ。
だから俺は、口を開く。
______3つ目の選択肢を突きつけ
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