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歌集「春雪花」
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 朝ぼらけ

  山を染めにし

   陽光も

 君ぞ想いて

    褪せて虚しや



 夜明け方…静かに辺りが明るくなる…。
 朝陽が昇り始めて山並みを染め上げてゆくのに…どうにも虚しい…。

 彼のことばかり想い…そうして全てが色褪せて見えてしまう…。

 本当に…虚しい…。



 夏来るも

  人ぞ空しき

   恋心

 蝶も煽られ

   地に落ちにけり



 翠が深まって夏が来る…。その中に人が行き交うのを見ても虚しく、あるのはただ…彼への想いだけ…。
 蝶が風に煽られて地面へと落ちる…自由とはそんなもの…。


 人を愛することもまた…。




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