第一章 目覚めるその力
第一話 空にて、到着直前。
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行動が遅れた。それからいち早く立ち直ったジーノは真っ先に状況確認の為に窓から地面の方を見た。
目に映ったのは、火球を放ったときの反動を受け流すことが出来ず、そのまま墜落していく火竜の姿であった。片方の翼が殆ど動かず、腹部が傷付いてろくに力も入らない状況で、バランスを取り直す事も出来ずに墜ちていく空の王者の姿であった。
「自分の命が助かることだけを考えていれば良かったものを……本能的に大きすぎるプライドが運命を決めたか」
一矢報いる為に放った攻撃が裏目に出た。自らの命さえ危ぶまれる結果を自ら招いた。それが空の王だった竜の敗因だと、ジーノは墜ち行く火竜にそう言い捨てたのだった。
目線を下から前へと向ける。目に入ったのは大小様々な建物群であった。それは次第に大きくなっていく。先程まで全体を見渡すことが出来ていた森も地面に近付くに連れて巨大なる迷路の様相を取り戻していった。
「リューガ、いつまでも寝っ転がってないで起きろよ。もう着くぞー」
先程の火球によってバランスを崩し転んだリューガは、ジーノからは大分離れたところで寝転がっていた。そんな彼をジーノは微笑みながら呼ぶのであった。
長旅は終わり、この移住先の村にて新しい生活が始まる。二人の若い狩人と龍とを結びつけるきっかけとなる日常が。
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