第一章 目覚めるその力
第一話 空にて、到着直前。
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ち、青い目は不敵ながらも静かな闘志を携えていた。バリスタの準備は既に終わっており、準備は確かに万端である。
対するリオレウスは、殺気を帯びながら飛行船の周りを威嚇するように飛んでいた。
まるで、「今すぐここから出ていけ」とでも言うように。
「殺気に溢れてるね。こっちから何かするつもりは無いんだけれど」
「お前は何でそんな余裕なの……?」
「こんな時こそ笑顔だよってね」
にこやかに言うジーノを見てリューガは露骨に溜め息を吐いた。
ジーノの言動からはかなりの余裕を保っていることが分かる。リューガも焦りこそすれ、恐れに身体をすくませる事はなかった。無論二人の目付きは鋭いままで、慢心などは決してしていない。
二人の狩人が戦闘準備を終えた。飛行船内の有志達も既にバリスタの発射台にて攻撃の準備を完了している。
ジーノは自らバリスタの砲台には着かず、指示を出す役割についた。
リューガは他の乗組員と共にバリスタの照準を付ける。リオレウスもまた、 攻撃を仕掛けようと隙をうかがっていた。
睨み合いが続く。操縦士も迎撃担当の者が対応しやすい様な向きを維持し続ける。
先に動いたのはリオレウスだ。再三の威嚇が意味を為さないままテリトリーを侵され続けた事に痺れを切らしたようだ。
火竜が口内に炎を溜める。それを吐き出そうと息を吸ったその時であった。
「いけぇ!!!」
ジーノの指示と共に、二台のバリスタから巨大な矢は放たれた。向きはリューガが付いていた方からだ。リューガが放った一本の軌跡はリオレウスの右の翼、その胴体と連結する部分の関節を正確に貫き、砕いた。別の乗組員が放ったもう一本は腹部へと飛んで行き、これも深く刺さった。
突然の痛みと片翼の唐突な不自由により、大きくバランスを崩したリオレウス。直後の追撃もあって彼は大きく怯み、そしてそのまま墜ちていったように見えた。
「やりぃ!」
得意気に笑いながらそう言い放つリューガ。しかしその瞬間、
「気を付けろ!! 来るぞッ!!」
という、先程までとは全く異なる焦りを帯び、鬼気迫ったジーノの声。それから一秒もしない内に響いた、何かがぶつかったような轟音、そして立ち続けることも困難な程の震動によってその表情は驚愕に塗り替えられた。
リオレウスが墜ちながらも放った火球がリューガ達のいる飛行船の胴部分を直撃したのだ。
この胴部は飛ぶための気体を入れる気嚢に比べればかなり堅牢で、ここに当たったのは不幸中の幸いと言える。しかし、この火球の威力はバランスを崩しながら放たれたものにも関わらず相当なもので、一発で飛行船のバランスを大きく崩してしまった。更に恐るべき事に、その衝撃は飛行船の壁に穴を開けたのだ。
大きく傾いた飛行船の中で体勢を維持するのは難しく、各々の
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