第一章 目覚めるその力
第一話 空にて、到着直前。
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る赤のみを見据えていた。
「リューガ、景色はどうだい?」
そんな事は露知らず、ジーノは窓の外を見続けるリューガにそう言った。しかし、その声に振り返る彼の顔は先程までの暢気なものではなかった。
リューガが鬼気迫った表情でジーノを睨む。そんな彼を見て大きな青い瞳の目を更に大きく広げて驚いた。
「ど、どうしたんだ? そんな顔して」
「ジーノ! 何か来やがる!」
ジーノが言い終わる前に、その少なからず焦燥を感じさせる声が放たれた。それを聞いて、ジーノもすぐに窓の外を覗く。そしてソレを確認するなり、「あー……」と洩らした。
赤色の何かは徐々に形を現す。一対の強靭な翼、棘の生えた太い尾、そしてその形は飛竜そのものであった。そして、二人はその飛竜の名も姿も知っていた。
「だぁー!! やっぱりリオレウスか!」
「いつの間にかテリトリーに入っていたようだね。操縦士さんには気を付けてほしいもんだよ」
「冷静に言ってんじゃねえ! というか、操縦士の奴は今の状況知ってんのか!?」
「知ってるかどうかじゃなく知らせないと」
「分かってるよそんな事ォ!」
それに対する反応は正反対だったが。
リューガは過剰なまでのリアクションを見せ、対するジーノは全く動揺を感じさせない涼しげな表情である。
そんな二人の共通点は、迎撃態勢を早々と整えている事である。
「乗組員の皆さーん! リオレウスに襲われそうなんでパパっと迎撃の準備お願いしますねー! あと一応操縦士さんにも伝えといてくださーい!」
その準備は、ジーノのどこか間の抜けた呼び掛けから始まった。
このような緊急時には、飛行船に乗る者達全てが迎撃の為に行動する必要がある。このような事態に幾らか慣れている者は自ら必要な行動をとれるのだが、大半の場合はそうはいかない。まさかと思って外を見た四人の若い商人は殺気に満ちたその姿を目にした瞬間腰を抜かして震えてしまっている。一人はパニックになってろくに話すことも出来ない。
よって、迅速な行動がとれたのは乗組員と一部の乗客だけだ。
二人はまず装備を整える。こういった移動中は何時でも出撃出来るよう、胴部と脚部の防具は常に身に付けられている。残った腕、腰、頭の防具、そして武器を迅速に身に付けていくのだ。
リューガが身に付けているのはボロスS装備という、ボルボロスという獣竜種のモンスターの素材を使った装備だ。このSは上位個体の素材を使っている事を意味する。そして武器はモノブロスという砂漠に棲む飛竜の角を使ったランスの「クリムゾンホーン」である。このモノブロスは一本の猛々しい角を持つことから“一角竜”という別名がある。そして、この竜はある英雄譚から伝統的に「一対一で戦わなければならない」という掟があり、この竜に打ち勝った者こそが一流のハ
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