第二十四話
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飛ばされる事になるのやら」
「何処でもいい。アオが一緒に居てくれるなら」
「そっか」
顔が赤くなるのを感じる。
「うん」
この世界で得たものもたくさん有る。
出来ればこの世界に居続けたいような気もするが、運命はそれを許さないのだろう。
いやこの場合は石の効果だが…
この世界で自分を認識した時には既に見当たらなくなっていた転生の宝玉。
アレは恐らく俺とソラに半分ずつ分かれて取り込まれ、15年掛けてエネルギーを俺達の体から吸い上げていたようだ。
「当主やヒナタへの手紙は既にしたためた。火影様への説明もしてくれると期待しよう」
「そうだね」
「ヒナタは随分強くなった。当主との約束も中途半端かもしれないが果たされたと思ってもらおう」
「うん」
「しかし、この世界に来て俺は日本人だった頃…現世とも言うべきか?の記憶がおぼろげに成ってしまった。最早名前くらいしか覚えていない」
「うん」
「恐らく世界を渡る度に記憶が欠損していくんじゃないかと思う」
「そう」
「この世界の事も、漫画の世界だと知識はあった。万華鏡写輪眼や、忍術の知識も何とか残ってはいた、うちはの悲劇の事も…だけど、肝心なストーリーに関してはついに思い出す事は出来なかった」
「………」
「恐らくもう一度世界移動してジン達の世界に戻ったとしても恐らくハンター×ハンターの世界だという認識は有っても、恐らくもう登場人物…主人公すら思い出せないだろうな。ジン達のように実際会った事がある奴、経験した事は未だ忘れては居ない。だけど現世での知識はもはや恐ろしく希薄だ。今後も思い出す事は無いだろう」
実際、今思い出せる作品なんて『リリカルなのは』位な物だ。
…俺はよほどこの作品が好きなのだろうな。
色あせながらも未だに覚えているのだから…
月が雲に隠れたのか、窓から入ってきていた月光が遮られ、明かりを灯していない部屋の中を闇が覆う。
「…いよいよかな」
「そうみたい」
段々体が光に包まれてくる。
俺は忍者道具一式を身に着けるとソラと手を繋ぐ。
「どうやらこの世界ともお別れのようだ」
「大丈夫。何処に行っても私は一緒に居る」
「そっか…そうだな」
そして一瞬眼を覆わんばかりに強い発光があった後、その場には俺達の姿は既に無く、静寂が支配していた。
劇的な物語があった訳ではない。
周りの人たちにしてみればいつもと変わらない普通の一日。
しかしそんな普通の日に、俺達はひっそりとその世界を去った。
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