暁 〜小説投稿サイト〜
碧陽学園生徒会議事録〜?In the hill where the setting sun is beatiful〜夕日の綺麗なその丘で〜
On Winter one day 〜冬のある日に〜
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た。
決してありえないと思うが、現状これくらいしか思いつかない。
そう思い、俺は取り敢えず家政婦に言ってみた。
「すいません、いきなりですけど今から何でもいいので一つの事だけを頭の中に思い浮かべてください」
「…どうしたんですか?一体?」
「いいから早くお願いします!」
そう言うと家政婦さんは疑問に満ちた顔をしていたが、取り敢えずといった感じで目を閉じ考えてくれたようだ。
……今日掃除終わったら、昨日貰ったバームクーヘンを紅茶でも入れながら食べようかな…
「『掃除終わったらバームクーヘンが食べたい』ってところか…」
「え…?」
『何でわかったの?』みたいな顔をしているから、取り敢えず「顔に出てたよ」と適当に返答しながらも俺は確信する。
何でかは知らないがどうやら俺は、『望まずにして相手の心を読む事が出来るようになった』んだと。
最初のうちは良かった。
何でも人の心が読めるのだ。いいこともあれば、当然悪いことだってある。
俺は立場上、たまたま悪い事のほうが多かっただけにすぎない。人それぞれに大小差はあるはずだ。
今日俺が
ここ
(
こうえん
)
にいるのだってそうだ。
パーティで近づいてくるのは下心しかないような連中ばかり。
やれ玉の輿だとか、やれステータスがなんだとかともううんざりだ。
『醜い』
俺は素直にそう思った。
小さい頃にあんなに尊敬していた父親でさえ、裏では汚い事に手をだしていた。
母親も、俺の事を何かときにかけているような素振りをしていたが、
俺のいないところでは俺の自慢ばっかりで俺を宝石か何かのアクセサリーと勘違いしているようにしか見えない。
家の人達も一歩下がって接していて味気がない。
『俺も普通の家に産まれていれば……』
何度その言葉を口にし、何度願っただろうか。
今ではもう数えるのも馬鹿らしくなってきた。
少年は冷えきっていた。
この寒空の中外にずっといるので、体は当然雪塗れで顔も心なしか蒼白い。
そして、親にも周りの人達からも『本当の自分』をずっと見てもらえず、一人周りの偽りの言葉に耳を塞いでいた少年はとうとうここで思った。
「もう……どうでもいいや…」
自然と口から出た言葉と共に少年は、開いていた瞼をゆっくりと閉じていった。
どうせ生きている限り、この苦しみは続いていくのだろう。
ならば……そうならばもういい……
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