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竜門珠希は『普通』になれない
プロローグ:4人兄弟姉妹、☆空レストランへ行く
結局あなたが一番最低です。会話の内容的に
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もう解散なんでしょ?」
「そうだよ」
「じゃあ、私たちも帰りましょうか」
「うん」

 凌太くんと颯くんの母子(おやこ)の会話を足がかりに、無事に迎えに来た相手を見つけたあたしたちも解散の運びに向かう。

「それじゃあ、今日はお疲れさまです。颯くんと凌太くんのお母さん」
「ええ。お姉ちゃんもわざわざご苦労様」
「いえいえ。あたしは別に」
「それじゃあね聖斗くん。颯くんもまたね」
「はい」
「お疲れ様です」

 相変わらず静かで滑らかな物腰で颯くんのお母さんは颯くんを連れて校門近くにあった白いスポーツカーに乗ると、空きっ腹に響くようなエンジン音を残して去っていった。

 ――って、今日もまた颯くんのお母さんに「お姉ちゃん」呼ばわりをやめてもらうようお願いするの忘れてた。何気にもう既成事実化してる気がしないでもないなぁ……。


「それじゃあ、あたしたちも帰るわ」
「あ……、はい」
「今日は同乗させてくださってありがとうございます。凌太のお母さん」
「気にしなくていいわよ。そうじゃないと凌太(コイツ)が落ち着きないしね」
「は? 何言ってんだよ母さんっ!」
「別にカッコつけなくていいじゃない。男のそういう気持ちもわかるけどね」

「……へ?」
「なっ!?」
「ん?」

 凌太くんの母親の一言に、あたし、凌太くん、聖斗の三者三様の反応が同時になった。

「それじゃあ二人とも、ウチのバカ息子をよろしくー」
「え? は、はぁ……」

 唖然とするあたしたち三人を置いて、凌太くんのお母さんは親は車のほうへさっさと歩いて行ってしまった。

 ……ちょっと待ってください、凌太くんのお母さん。凌太くんのカッコつける場所はどうでもいいにしたって、どうしてあたしまで凌太くんをよろしくしなきゃならないんでしょうか?
 あと、息子さん置き去りにしないで回収してってくださいよ。


「そ、それじゃあ……な。聖斗」
「お、おう……」
「それじゃあ、お、お姉さんも……」
「う、うん。……い、いろいろ頑張ってね凌太くん」
「はい……。すみません」

 すっかり母親のペースに飲まれてしまった凌太くんは、この気まずい空気に耐えきれなくなったのか、先程までの勢いはどこぞに消え、言葉も少なにあたしと聖斗に別れを告げると母親の後を駆け足で追いかけていった。

 うん。何となくこの場の雰囲気的に「頑張って」と声はかけたけど、やっぱりあたしが凌太くんとよろしくする必要はないんじゃないかな。
 別に凌太くんが嫌いってわけじゃないけど、年下異性に興味はないし。


「さて、あたしたちも帰ろ……って、あれ? 聖斗?」

 気持ちを落ち着かせ、凌太くんのお母さんの運転する車が動き出したのを見送り、あた
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