プロローグ:4人兄弟姉妹、☆空レストランへ行く
もう(声優に夢見る意味)ないじゃん……
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思っていたであろう兄にとってはショックだったかもしれないけど、ショックのあまりハンドル操作が疎かになられては困る。
けど、最近深夜アニメに進出し始めている、クール系ヒロインの演技に突出したかの女性声優とか、デビューCDがオリコンデイリーの1位獲得した妹系アイドル声優とかが、ガラス向こうのブースの中で台本読みながらマイクに向かって喘ぎ声漏らしているのを見てみると、何というか――。
……実際、そんな興奮しない(粉蜜柑)
それはあたしが女性だからというわけではなく、男性スタッフ的にも、やはり仕事として携わっている分には何とも思っていないようで、むしろ容赦なく音響や監督さんがダメ出しを怒号に乗せて飛ばしていた。いちいち下半身から先に反応されても困るしね。
それなのに有名になれる割合一桁のためにバイトしながら夢見る男女が毎年のように集い、競い合う声優業界恐いと思った、まる。
「なあ、もしかしてとは思うけど、お前、【北見杏樹】と出会ってたりとかした?」
「【北見杏樹】?」
――【北見杏樹】
あたしが知る限り、去年の夏あたりから名前が売れ始めてきた女性声優の一人だ。何かとお兄ちゃんと結月がこぞって演技が上手いと褒めていたような――。
もちろん、去年は高校受験を控えていた当のあたしはアニメやゲームに割く時間はそんなにありませんでしたよ? 漫画も見るのを控えてたくらいですよ?
だから【北見杏樹】に関して知っていることは限りなく少ないんだけど――。
「……ああ、【柏木光葉】さんのこと?」
「ちょい待ち! なんでそこで裏名義出しちゃうかなあ?」
爆弾を投下したあたしへ反射的に視線を向け、会話内容の訂正とやり直しを求めるお兄ちゃん。
おいコラ運転者。前を見ろ。事故るだろうが。
「いや、あたしが出会ったことあるのは【柏木光葉】さんのほうだし」
「いやいやいや……。それだけは、そこだけは言っちゃ駄目だろー?」
「別にいいじゃん。裏名義を非難してるわけじゃないんだし」
この世には一部、頑なに認めようとしない連中がいるのはわかるけど、声優の仕事がアニメやコンシューマゲームやナレーションだけだと思うなよ? erg声優も彼らの選んだ道で、通過点であり到達点のひとつだ。全員が全員通る道ではないし、目指す場所でもないけれど。
てかこの声優オタ、まだネット上でも確定していない裏名義までばっちり把握してんじゃないですかやだー。
「それはそうだけどさー」
「じゃあ表も裏も同じ名義で頑張ってる声優さんたちに謝れ」
「え? 何でそういう流れ?」
「【北見杏樹】にバラすよ? あの人のLI○Eアドレス知ってるし」
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