暁 〜小説投稿サイト〜
竜門珠希は『普通』になれない
プロローグ:4人兄弟姉妹、☆空レストランへ行く
もう(声優に夢見る意味)ないじゃん……
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ろいろ精神的な問題はそれについて回る。

「ま、補導とか保護観察とかならありえるかもねー」
「あぅぅ……。もう、伯父さんとかにどう説明したらいいんだろ」
「別にいいんじゃね? そうなったらもう話聞いてくれないだろうし」
「それが一番最悪なんだってばぁ……」

 最後に玄関の鍵を閉めたあたしは、軽い返事をするお兄ちゃんの後に続いてガレージに向かう。
 何にしたって本気で身バレだけは避けないと――。そう心に誓ったあたしは、お兄ちゃんの運転する車に乗って、妹と弟を迎えるついでに買い物をしようと家を後にした。


「――で、最初はどこ?」
「まずは東京だね。結月(ゆづき)を迎えに行こう」
「ん? 東京? 今日何かあったっけ?」

 お兄ちゃんは首を傾げながらもすぐ近くの交差点を曲がり、国道に出ると進行方向を北に向けた(注:ちなみにあたしたちの実家は東京都のすぐ南にある県にあります。中華街やみなとみらいがある土地柄って言えば誰でもわかるはず)。

「池袋でイベントあるんだって。聞いてなかった?」
「聞いてない」

 これは内心ショック受けてるんだろうなー、と運転するお兄ちゃん(シスコン)の横顔を見ながらあたしは思う。結月(ゆづき)はあたしの2歳下の妹で、一人だけ歳の離れているお兄ちゃんからすると8歳も下になる。お兄ちゃんからすると兄妹より親子感覚で可愛がってきたから気にかけるのも無理はない話。

 しかも「大きなおともだち」な方々から絶賛好評中の現役女子中学生(JC)だ。そのうえ身内の贔屓目を抜きにしても年齢相応にスタイルが良くて可愛い。友人と一緒にショッピングに出かけては芸能事務所や読モのスカウトの名刺をもらってくるくらいだし、手先も器用で要領がよく、初対面の人からも愛されるオーラを放っている。学校の成績的にはちょっと残念なところがあるけど、それもまた魅力にすら変えてしまう娘だ。

 ただ、学力以上に残念なのは、末っ子ゆえに甘やかされて育ってしまったことと――。

「結月めー、俺に内緒とかありえんし」
「だろうねえ。腐向けとか言ってたし」

 結月(あのコ)は一言で表すならガチのオタクだ。しかも手遅れレベルの。何が手遅れかって言えば、普段はゲームと音楽鑑賞とか偽っている趣味の蓋を開ければゲーム(とアニメ関連のコスプレ)と(ネット上でゲーソン・アニソンと呼ばれる)音楽って時点で既に臭うハズ。
 ――というか、イベント会場が池袋って時点で何かを疑おうよ、お兄ちゃん。
 あの娘、昨日の夜に鼻歌歌いながら新撰組とアイドルっぽい衣装詰め込んでたんだよ? あれきっと『薄桜○』と『うた○リ』のだよ?

「そんなの、出演声優(キャスト)の前じゃ関係ないだろー」
「……ああ、うん。あなたってそういう人でし
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