プロローグ:4人兄弟姉妹、☆空レストランへ行く
もう(声優に夢見る意味)ないじゃん……
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ある作業机の上のもう1台の、24型のモニタを搭載したデスクトップパソコンも立ち上げた。
スケジュールの多忙を理由に挙げ、そちらの企画には参加できないとの主旨の返事をメールで送ると、あたしはノートパソコンの電源を落とす。今日は土曜日。おそらく返事は来週になるはずだ。
そうしてあたしは向かう相手を学習机から作業机に変え、右手にマウスではなく液晶タブレット対応のペンを取った。
☆ ☆ ☆
「おーい、4時になるよー?」
ヘッドホンから流れる作業用BGMの隙間からドアをノックする音が聞こえ、お兄ちゃんの声が続いて聞こえた。
「わかったー。今準備するー」
右手に握りっぱなしだったペンを置き、あたしは保存作業を開始した。
今までの仕事がPCに保存されたことを確認すると、朝からあらかじめ用意していた外出用の服に着替え、部屋を出る。
「今日、作業のほう結構進んだんじゃない?」
戸締りとガスの元栓を閉め、出かける支度を整えたあたしが玄関先まで来ると、既に支度を整えていたお兄ちゃんが何気なくあたしの進捗状況を尋ねてきた。
「まあ、それなりに」
「その様子じゃ、デビューは大丈夫そうだな」
「ぅあぁぁ……。めっちゃ不安なんだけど」
「大丈夫だってばー。だって俺の妹じゃん?」
「それ、全然フォローになってない」
相変わらずのお兄ちゃんの、そのどこから湧いてくるのかわからない超楽観的な見解に、
特に取り柄もない小心者で不安症なあたしは反論する。
だってさ、デビューとか初舞台とか、規模の大小あれど誰だって通る道とはいえ緊張は少なからずあるもんでしょ? それに俺の妹だから大丈夫だという理論がイミワカンナイ。「俺の妹がこんなに小心者のはずがない」とか茶化して言ってくれたらまだマシだったのに。
「気にすんなって。現役女子高生でデビューとか前代未聞だから」
「いやいや、そういう問題じゃないし! てか、そこが一番の問題だし!」
確かにあたしは今年の春――といっても、ほんの数日前――に高校生になったばかりだ。
特に仲良くなれそうなクラスメートは数人いるものの、まだクラスメート全員の顔とフルネームが完全一致していないし、今はまだ同じ中学だった友人とクラスの枠を超えてお喋りしていたほうが楽だった。
「だって身バレしたらアウトだよ? 絶対捕まるってば」
「法的には問題ないんだけどなー」
「社会倫理的な問題なの」
お兄ちゃんの言うとおり、あたしのやっている・やろうとしている仕事は現行法に抵触するおそれはまずない。別に円とかサポとかするわけじゃないし、怪しいJKビジネスに手や足を染めているわけじゃない。
ただ、あたしのい
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