プロローグ:4人兄弟姉妹、☆空レストランへ行く
もう(声優に夢見る意味)ないじゃん……
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ア》解放前に妹孕ませといてその質問はないわー」
「……ごめん。あたし委員長派だわ」
「俺も銀子さん推しだけど?」
――沈黙回避策、あえなく失敗。
「……ねえお兄ちゃん。ここはもう何も言わず痛み分けにしない?」
何となく話題がインセストに及んでいることはあえてスルーして、あたしは先んじてひとつ提案を持ちかけた。
このままだと間違いなくあたしとお兄ちゃんは言い合いをする。
作品のクオリティとか、OPとEDの出来とか、シナリオ・演出の腕とかに始まり、ブランドの過去作やメディアミックスとか現在の業界内部でのスタンスや力関係とかで必ず言い合いが起こる。
しかもあたしは基本的にシナリオと演出が良ければどんなジャンルもプレイするし、お兄ちゃんはキャラと原画家と主題歌でプレイ対象を決めるという、まさに水と油。しかもお互い熱くなると危険という――。
もうね、何というかアレですよ。界面活性剤がないと決して混ざり合わないレベルの話。
……ま、あたしもお兄ちゃんも両作品を続編やFDまですべてプレイ&フルコンしたうえで言ってるんですけど。
「……そうだな」
お兄ちゃんもあたしと同じことを想像してくれたのか、あたしの提案にすんなり乗ってくれた。
いや、さくやも穹もどっちも可愛いから問題ないんだけどね、さすがにジャコスと町おこしは同列に扱えない、かな。
「ん。それならこの企画はお断りということで」
そう言ってあたしは席を立ち、空のペットボトルを片付けにキッチンに向かった。
てか、あたしは今、この企画書以外の仕事を4本くらい抱えているんですけどね? そのうち3つは3日以上前から完全に編集・担当の人たちに首を痛めるくらい頭を下げまくってるってのに。
一方のお兄ちゃんはダイニングで音響機器を特集したコアな雑誌を広げ、残ったコーヒーを飲んでいて、久々の休暇を満喫しているようだった。
「それじゃお兄ちゃん。あたし、部屋で仕事してるから。4時になったら教えて」
「おう。任せとけー」
言葉尻が間延びするのは治らないとはいえ、実妹含む大抵の女性のお願いを、ほとんど嫌な顔ひとつしないで引き受けてくれる兄を背に、企画書を回収したあたしはキッチンを後にして二階にある自分の部屋に向かった。
階段を上り、あたしは自分の部屋の扉に架けられたネームプレートを裏返した。作業中に邪魔が入らないよう、「仕事中」の三文字が顔を見せる。
「さて、と。まずは返事か……」
部屋に入るなり、あたしは先程の企画者のアドレスにメールを返すべく、学習机の上のノートパソコンを立ち上げる。そして立ち上がるまでの間、学習机と同じ高さに
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