五十一話:母は強し
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く屠れるのはその身体能力のおかげだ。当然ながら母さんから受け継いだものだから母さんの身体能力も馬鹿げている……俺が本気で馬鹿げていると思うレベルで。
「があああっ!? 死ぬ! 死ぬ! 母さんより俺の方が先に死ぬ!!」
「親より先に死ぬ親不孝なんてママは許さないわ!」
「だったら、離してくれっ!」
「毎日、連絡するって言うまで離さないわ」
「あ? 毎日なんて面倒くさ―――」
―――メキャッ!
人体から聞こえてはいけない音が聞こえ始めてきやがった。やばい、このままだと本気で母親の胸の中で死ぬ息子という悲劇が完成してしまう。背に腹は代えられねえ、面倒だが仕方ねえ。これからは毎日連絡するしかねえ。
「分かった! 毎日連絡するから離してくれ!!」
「ありがとう一誠ちゃん。ママ大好きよ!」
―――ボキャッ!
感動の余りさらに力を込めて抱きしめて来た母さん。それと同時に俺の意識が飛びかける。……この運命からはどうあがいても逃れられなかったのか。そんなことを意識が薄れて来た頭でボンヤリと考え、俺の意識は闇に落ちてい―――
「いい? 良い男は一度掴んだら離さないのが鉄則よ」
「握力をもっと鍛えるわ」
「待て、イリナ。それ以上握力を上げられると俺が死ぬ」
「わ、私も頑張ります!」
「アーシア、お前も十分すぎるだろうが! それといい加減、物理的に離さないという発想から離れろ!」
いけなかった。何やら俺の寿命を物理的に削りそうな物騒な考えを母さんが女性陣に教えていたのでツッコミを入れるために起き上がる。因みに折れた部分は晴の活性で治療中だ。背骨の損傷が少なかったのが唯一の救いだ。
(ご主人様! なぜ、今のご褒美を私達と共有してくださらなかったのですが!?)
(我々は常にあなたと共いるというのに!)
(誰も居て欲しいなんて一言も言ってねえよ。寧ろ消えろ)
俺の罵声に対して歓喜の声を上げる変態共を無視しながら俺は変な方向に話がずれていきそうなのを止めに入る。早い所、将来についての話とかいうのを終わらして自分の部屋に籠りたい。引きこもりなんて言うんじゃねえよ。文句があるなら俺と同じ生活を一週間続けてみろ。
三日目には変態に仲間入りして俺を見て『靴を舐めさせてくださいイイイイイイッ!』とか言ってトルネード土下座をかまして来るようになるぞ。……結局俺にとって悪い事が起こるのには変わらねえな……ああ、胃が痛い。
「で、結局のところ、何の話なんだ、母さん」
「あら、もう話してるじゃない。一誠ちゃんのお嫁さんを決めるのよ」
「まだ、そんな年じゃねえだろうが!」
「家に何人も女の子を住まわしているのに何も起こらないなんてあり得ないでしょ。しっかりと籍を入れれば安心してあんなことやこんなことを楽し
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