第四十八話 薊の師その十五
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「それと猿、猪、熊。野犬もいるわ」
「おいおい、野犬もかよ」
「そうなの、たまにいるの」
「何でいるんだ?犬なんて」
「山奥に犬を捨てた人がいて。その犬が野生化して子供作って」
「それでか」
「いたりするの」
そうだというのだ。
「最後まで飼えばいいのに」
「だよな、捨てるとか最悪だと思うぜ」
薊もそうした行為には顔を顰めさせる、決してしてはいけない行為であるとその顔にかなり露骨に出している。
「最後まで一緒にいるか。それが無理なら」
「誰かにあげるとかね」
「里親探してな」
「そうしてあげないとね」
「全くだよ、無責任な飼い主いるな」
「絶対に動物飼ったらいけない人がね」
そうした行為をするのだ、人として許されないことを。
「いて。それで」
「山に野犬がいてか」
「結構危ないのよ」
「だよな、流石に今時狂犬病はなくても」
「わからないわよ、野生化してると」
しっかりと家にいて飼われていない限りはだ。
「あの病気どの動物にも感染するし」
「犬以外にもか」
「そう、猫にもね」
「そう、猫も狂犬病になるわ」
ここで菖蒲が薊にこのことを話した。
「だから気をつけないといけないの」
「猫もか」
「化け猫は実は狂犬病になった猫という説もあるわ」
「じゃあ佐賀のあれは」
「そうだったかも知れないわ」
「あの話本当かね」
「言い伝えよ。龍造寺家の最後の殿様が飼っていたらしいけれど」
その猫をだ、このことは確からしい。
「けれどあの殿様は怪死したけれど暗殺ではなかったわ」
「鍋島家の人に殺されたんじゃないんだな」
「違うわ、藩の実験を握ることになっていた鍋島家を憎んで色々した結果最後に自暴自棄になって奥方を殺して自分も腹を切って」
この流れが真実だったらしい、伝説では色々言われているが。
「死にきれず毒のあるお魚とかを暴飲暴食して馬術大会に出て乱暴に乗って死んだらしいわ」
「何か凄い死に方だな」
「怪死よね」
「ああ、そんな死に方もあるんだな」
事実上の自決だ、あまりにも異様な。
「それで死んでか」
「そうした話が出来たのよ」
「猫を飼ってただけで」
「そうだったらしいわ」
「そこに狂犬病になった猫の話が入ったのかね」
薊は首を傾げさせつつ述べた。
「そういうことかね」
「そうかも知れないわね」
「そうか、猫も狂犬病になるんだな」
「そうなの」
「気をつけないとな、罹ったら終わりだからな」
これが狂犬病の恐ろしいところだ、エイズより恐ろしいという医師もいる。
「あの病気は」
「うん、だからね」
裕香がまた薊に話す。
「山に入ることは危ないの」
「そうなんだな」
「あと山奥には入ったらいけない場所もあるわ」
「ああ、そこ
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