第四十八話 薊の師その十一
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「かなり」
「そうですね、潜水艦は隠密行動が基本なので」
「海の底で」
「発見されては終わりです」
もうそれだけで、というのだ。
「ですから小さく、そして」
「それにですか」
「様々な機能があります」
「見付からない為のですか」
「細かいことは機密です」
佐古二尉は笑ってだ、裕香に冗談めかして言った。
「潜水艦、護衛艦は機密の塊でもありますので」
「それで、ですか」
「そうです、特に潜水艦はです」
「機密が多いのですね」
「まあ中はかなり狭いです」
その小ささから予想出来る様にというのだ。
「椅子が食料を入れる場所にもなっている位です」
「椅子が、ですか」
「そうです、箪笥の様になっていて」
「そこに食べものを入れてるんですか」
「ジャガイモや玉葱を」
「そうまでしないと場所がないんですね」
「そうです、それが潜水艦です」
こうしたこともだ、佐古二尉は話してくれた。そしてその潜水艦の後はだ。
独特の、鋭角的である筈なのに丸みも感じさせる一際大きな護衛艦の前に案内された。佐古二尉は薊達にその護衛艦を見せて明るくこう言った。
「これがイージス艦です」
「あの有名な」
「はい、海上自衛隊最高の兵器の一つです」
こう菫にも言うのだった。
「イージスとはです」
「確かギリシア神話の」
「はい、アテナの盾であるエイギスの英語読みです」
「全てを守るということですか」
「ミサイルや魚雷、あらゆるものから」
「それがこの護衛艦の役目ですか」
「その為高性能のレーダーやソナー、他の防御用装備を充実させています」
その大きな姿を見せながらの説明である。
「ある国のミサイルも防げます、完全に」
「ある国ですか」
「はい、ある国のです」
この辺りは冗談めかしての言葉だった。
「それも防げますので」
「頼りになるんですね」
「このイージス艦が横須賀だけでなく海自の主な港全てにありますので」
「海の守りは万全ですね」
黒蘭の目がここで光った。
「そうなのですね」
「はい、お任せ下さい」
「期待させてもらいます」
「それとなのですが」
佐古二尉は黒蘭に胸を張って言ってからだった、今度は。
基地の施設の方に顔をやってだ、こう言った。
「もうお昼なので」
「カレーですね」
鈴蘭がそれだとだ、応えた。
「さっきお話してくれた」
「それにしましょう、それとコーヒーです」
「コーヒーもですか」
「どちらも海軍の頃からのうちの名物ですので」
それ故にというのだ。
「お召し上がり下さい」
「ではお言葉に甘えて」
「食堂に案内させて頂きます」
こうして薊達は昼食のカレーとコーヒーを食べた、そしてその昼食の後は佐古二尉の見送りを受けて基地を後に
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ