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パンデミック
第六十七話「違和感の正体」
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れだけの時間をかけても分析が出来ない敵は初めてだ。
殺気どころか敵意すら感じさせないと思いきや、平然と兵士を感染者に変貌させた。
かと思えば、今度はまた殺意を引っ込めた。






「(……いや、まさかな…そんな馬鹿な適合者がいるものか……)」

タガートの中で、一つの可能性が出てきたが、それを否定した。
あり得ないと思ったから。

しかし、タガートの”可能性”は当たっていた。


「………今度こそ全員を感染させて…仲間のもとに送ってやる……」

再び歪な笑みを浮かべて駈け出した。
手刀を素早くタガート目掛けて突き出す。

「くっ!」

間一髪で手刀をかわし、ナイフを振って牽制する。






「(まさかとは思ったが……こいつ、本当に……)」


一定でない敵意と殺気。感染能力と瞬間移動のような能力。先程の不可解な言動。


タガートはようやく理解した。


今まで感じていた、違和感の正体に。






「タガートさん? どうしましたか?」


「…聞け……敵はおそらく…二重人格者だ」
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