第六十七話「違和感の正体」
[1/3]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
―――【レッドゾーン“エリア27” 中央広場】
タガート隊とアクエリアスとの戦闘は30分経っても決着がつかない状況だった。
タガートと兵士4人でアクエリアスに猛攻を仕掛けるも、すべて避けられて終わる。
アクエリアスも手刀で対抗するが、ベテランの部類に入るタガート達になかなか攻撃を当てられない。
お互いに決定打がない平行線が続く戦い。
しかし、その平行線もすぐに崩れた。
長期戦による疲労のためか、一人の兵士が足をもつれさせ、よろめいた。
「(まずい!)」
タガートは兵士を後退させようとしたが、遅かった。
アクエリアスの手刀が腹部に当たり、そのまま刺し貫かれた。
兵士の背中から、アクエリアスの血濡れの指が見えた。
「ぐふっ……」
腹を刺し貫かれ、大量に吐血しながらも、アクエリアスの腕にサバイバルナイフを突き立てる。
しかし、そんなささやかな抵抗は適合者に通用するはずもない。
戦闘開始時に見せた歪な笑みを浮かべたまま、びくともしない。
「クソッ………タガートさん……ご武運を……」
その言葉と同時に、アクエリアスの腕が勢いよく引きずり出された。
腹からは噴水のごとく血が流れ、兵士は自らの血の海に倒れた。
それだけで満足しなかったのか、アクエリアスは兵士の遺体を思い切り蹴り、タガートのすぐ後ろに
寄越した。兵士の遺体は力なくゴロゴロと転がる。
「……………呆気ないもんだなぁ…」
兵士を刺した手をぼんやりと眺め、ため息を吐く。
「貴様……」
「…………今怒るのか? 怒るにはまだ早いと思うがなぁ」
「グオォォォォォォォォォォオオオオォ!!!」
突然聞こえた感染者の咆哮。
音の発生源は、すぐ後ろ。
「うわあぁあぁぁぁぁ!! よせぇ!!!」
仲間の絶叫。
そのすぐ後の咀嚼音。
振り返ったタガートの視界には……………
先ほど遺体になったはずの兵士が、仲間を貪り喰う姿が鮮明に見えた。
「タガートさん! これは一体…」
「………………」
兵士の呼びかけにタガートは応じない。
ほんのわずかな沈黙の後、タガートは感染者と化した兵士に静かに歩み寄る。
タガートの存在に気付いたのか、口から血と涎を垂らしながら向かってきた。
「グオォォォォォォ!」
タガートは持っていたナイフをしまい、突進してくる兵士に足払いを仕掛ける。
「グウゥゥ!?」
バランスを崩し転倒するも、即座に起き上ろうとする。
その瞬間、タガートは素早く兵士の頭と下顎を掴み、力の限り捻じった。
ゴギンッという音が鳴り響く。兵士の首があり得ない方向に不自然
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ