暁 〜小説投稿サイト〜
劇場版・少年少女の戦極時代
ドライブ&鎧武 Movie大戦フルスロットル
室井咲はなぜ会いに来なかったのか?
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 乱戦の()(なか)にありながら、月花は碧沙たちから離れず、彼女たちを守って戦うスタンスを崩さない。

 また一体、インベスがDFボムによって爆散した。

『二人とも、だいじょうぶ?』
「わたしは平気。高司さんが守ってくれてるから」
『オッケー。じゃあ舞さん、ヘキサよろしく』
「待って、咲!」

 そんな場合ではないと頭では分かっていたが、碧沙は月花を呼び止めた。

「駆紋さんと一緒に葛葉さんの力のカケラを集めてたのは分かった。でも、それならどうして、わたしたちに教えに来てくれなかったの? どうして、答えてくれなかったのっ?」

 月花は碧沙に背を向けたまま俯く。

『――トモから』

 やがて月花は小さく呟き、語り始める。

『メールで今のヘキサの写メ貰って、ああ、ヘキサ大人になったなあって。今はまだいいけど、いつかはっきりした差になっちゃうじゃん。あたしがチビのまんまで、碧沙が大人になったら、さ』

 碧沙は愕然とした。

 自分がうじうじしている間、親友はこんなにも大きな悩みを一人で抱えていた。
 こんなにも真剣に、自分との仲を考えていた。

「咲――」
『ううん。ほんとは――怖かった。キレイになったヘキサが、成長してないあたし見て、不気味がってトモダチやめたらって想像したら、電話もメールもできなかった。ザックくんにも城乃内くんにも、早く何か言えって言われてたのに、こわくてっ、でき、なかった。できなかった!』
「咲っ」

 堪らなかった。碧沙は後ろから月花に抱きついた。

 変身中の咲は碧沙と同じくらいの身長だ。咲が頑なに変身を解かなかったのは、変身を解いて「咲」に戻れば、現実に直面してしまうから。
 碧沙たちは正しく時を進んで、咲は停まったままだという現実に。

「わたし、どんな咲でもいい。小さいままオトナになっても、わたし、咲が大好きよ」

 言えた。かたくなに意地を張って、ずっと言えずに放置してきた言葉。

『ほんと、に?』
「わたしもできなかった。いつか咲が駆紋さんのほうを選んだらって思ったら、ずっと連絡できなかった。だって駆紋さん、咲と同じ側の人だから。わたしじゃ分かってあげられないこと、駆紋さんは分かっちゃうかもしれないから」

 咲を戒斗に奪われたくなかった。咲に見放されたくなかった。ずっと呉島碧沙の本音に蓋をしてきた――嫉妬。

 碧沙は込み上げる涙を我慢し、ゆっくりと月花の背中から離れた。

「咲。顔見せて。わたし、咲の顔が見たい」

 月花は戦極ドライバーに手をかけて動かなかったが、やがてロックシードの施錠を解いた。
 バトルスーツが消え、室井咲の姿があらわになった。

 碧沙の記憶にあるままの小学生の咲だった。セーラー服
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