第13話
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恋の為にならぬ」
袁紹の言葉に力なくうな垂れる音々音、以前までの彼女ならば『そんな心配は無用ですぞ』と鼻で笑っていたかもしれない。しかし音々音の頭に浮かぶ光景は、決勝戦で猪々子に吹き飛ばされ壁に力なく背を預けるようにして倒れていた最愛の人の姿、助言していた所で恋の体力が持ったかはわからない。
それでも余力が残せていた可能性はあった。そして自分は彼女を盲信するあまりその助言をしなかった。
「……」
(大分反省しているようだが……、ここで情けをかけては彼女のためにならぬな)
俯く音々音に、心を鬼にした袁紹はさらに言葉をぶつける。
「そして今回の一件が戦場であったら、恋の命に関わっていただろう」
「っ!?」
音々音もその事は理解していたものの、考えるのが怖くて頭の隅に追いやっていた。
―――今までの賊退治でも似たような場面があった。数が多い賊たちに時間がかかり恋の動きは鈍くなっていたが、それでも他者を寄せ付けないその武力に音々音は度々突撃を指示していた。
もしこの先も同じように突撃させ、疲弊した状態で猪々子のような強敵に出くわしたら――
「うっ……うぅ」
そこまで考えて音々音は現実へと意識を戻した。彼女はただの盲信者ではない。
これまで恋を支え続けてきたことからも解るように、元々理解力は高いのだ。
「うわぁぁん!呂布殿、死んじゃ嫌ですぅ!!」
そして許容量をこえたのか泣き出してしまった。
(さすがに言い過ぎたか……いや、この問題を残せばのちのち――「麗覇様」む?)
泣き出した音々音に袁紹が胸を痛めていると斗詩が近くに来ていた。
良く見ると猪々子や恋も側にいる。
「こんな小さい子を泣かせるなんてひどいです!」
「……何?」
「そうだぜ麗覇様、いくら何でも言いすぎだろ〜」
「……泣かせた」
「ちょ、ちょっとあんた達!麗覇様は陳宮の事を思って!!」
その後、三人の剣幕に圧され(桂花は味方)音々音が泣き止むまであやす破目になった。
………
……
…
「「「ごめんなさい」」」
「わかればよい」
音々音が泣き止んだ後、袁紹は自分の考えを丁寧に聞かせ三人を納得させていた。
「まさか斗詩までわからなかったわけではあるまい?」
「うっ、頭では理解していたのですが小さい子が泣いているのを見たらつい……」
どうやら幼子の涙には弱いらしい。以後気をつけねば
「わ、私は麗覇様の心中を察していました!」
「うむ、感謝するぞ桂花」
「はい!」
軍師として厳しい対応にも慣れている桂花だけは、情に流されず叱咤した袁紹の気持ちを理解してくれていたようだ。
「音々音、お主が持つ
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