―運命封印―
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「答えろ……!」
本来の持ち主がいなくなった覇王城の頂上、エド・フェニックスは怒りを抑えながら、そこに立っていた男に問うていた。その男はくすんだ青色の服をたなびかせ、一枚のカードを持って佇んでいる。
「答えろと言っているんだ! 遊矢!」
――エドとカイザーが覇王城の頂上にたどり着いたのは、ちょうどオブライエンの命を賭けた特攻と同じタイミングだった。ジムとオブライエンの魂が籠もった一撃が覇王に放たれ、その心の闇がオリハルコンの瞳に吸収されていくと、後に残ったのは元の十代だった。
……ただし戦いに敗れたオブライエンの命は尽き、最後に残ったのは気絶した十代だけとなった。そして、エドがそこに駆け寄ろうとした時、どこからか現れたのは遊矢だった。遊矢は十代のデッキからカードを一枚抜き取ると、ゆっくりとエドに亮の方を見ていた。
それを見たエドが感じたのは、久々に遊矢と会ったことによる喜びではなく、目の前に現れた遊矢への怒り。今の登場タイミングは明らかに狙ったものであり、彼は確実に覇王とオブライエンの戦いを見学していた。……つまり、オブライエンを見殺しにしていたのだ。
今まで何をしていたのか、この瞬間に何をしているのか、何が狙いなのか――それらを全てひっくるめて、エドは遊矢に叫んでいた。
――『答えろ』と。
「答えろ……か。俺は最初から、みんなで元の世界に帰ることしか考えちゃいない」
思いの外はっきりとした口調で、しっかりと遊矢は断言する。そのこととオブライエンのこと、一体何の関係がある――とエドが再び問いただそうとした時、遊矢は一枚のカードをデッキから取り出した。エドと亮は、そのカードから有り余る力を感じた……追求の口を緩めてしまうほどに。
「このカードはいわゆる神のカード……ただし、不完全な封印解除しかしていない。さらに封印を解除するには、覇王の持つこのカードが必要だったんだ」
覇王のデッキから奪ったカードを憎々しげに睨みつけながらも、先程の《神のカード》と同じくエドたちに見せる。まるでそれは、生徒たちに授業をしている先生のようであったが――見せられたカードにより、二人は今度こそ戦慄する。
遊矢が見せたカードは《邪心教典》。この最悪の状況を作り出した、たった一枚のカードがそこにあった。
「このカードの力を使って、神のカードの力を解放すれば――」
「ふざけるな!」
人間と精霊の痛みなどの負の感情と魂を生け贄にし、新たな力を生み出す魔法カード《邪心教典》。その効力を知っているエドは遊矢の台詞を遮ると、正気を失ったような友人に訥々と語っていく。
「そんな不確かな可能性に、また多くの犠牲を出すのか? 正気を――」
「俺は大真面目だ」
……次に言葉を遮られ
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