閑話 第三話
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ジであるのは言うまでもないだろう。
さて、ここからだ。いつまで逃げていたって密閉空間から逃げ出せるわけじゃない。おそらく、この罠は一緒に閉じ込めたモンスターを全滅させるまで、今回に限って言えばクルセイド・アントを倒すまで出口が復活しないものだろう。というか、そうであってほしい。倒しても出口が戻ってこないとか、それマジ鬼畜だからやめてね?
つまり、私が生きて地上に戻るためには、クルセイド・アントを単独で撃破するしかない。文だけ見ると無謀極まりないが、先述の通りこちらに有利な状況である以上、勝機は十分に見込める。
となると、体格でもステイタスでも負けている以上、クルセイド・アントの弱点を正確に把握するしかない。次に弱点を突ける隙を探し出し、発見次第攻撃だ。何てことはない、敵があまりに強大なだけで、今までと同じ状況だ。楽観的ではないが、精神的にゆとりが出来た。
弱点を見つけるためにはクルセイド・アントを観察するしかない。私は角からこっそり顔を出し、通路の真ん中で立ち止まっている蟻を凝視する。
およそ1mの顎は鋏と言い換えて良いだろう。内側に鋸状の牙を生やし、挟んだものを粉砕ないし切断することができるはずだ。顎の力は逃げる途中で確認した通り、ダンジョンの壁を破砕することが出来るほどだ。私が挟まれれば死以外ありえない。
六本の脚は爪先以外黒い甲殻に覆われており、刃をいとも容易く弾くことだろう。私の攻撃が通る見込みがあるのは爪先だが、これはあまり現実的ではない。蟻は常に足踏みをするため非常に狙いづらい上に、攻撃できても相手の反撃をモロに食らう位置だ。しかし一本でも損傷させることが出来ればこちらに一気に戦局が傾くはずだ。
全身を覆う黒い甲殻は恐ろしく硬いと聞いたことがある。超有名な刀匠が打ったような業物であれば通るだろうが、私が今持つ槍は一般的な穂先だ。貫けることはないだろう。だが蟻の腹に浮き彫りになっている赤い十字架のような部位にはその甲殻は無い。金属質のような輝きは無いし、僅かな弾力性を感じられる膨らみが見て取れる。一度赤い十字架のような部位に攻撃をしてみて弱点か否か試す価値は十分ある。
蟻がこちらに振り向く気配を感じ、すぐさま視線を引き剥がし顔を引っ込め、奥の通路へ足音を殺しながら移動する。Lv.2と認定されるモンスターはステイタスの高さだけでなく、僅かな思考力を持つことが最大の危険だと言われている。Lv.2に認定されているクルセイド・アントもその例に漏れていなかったのだろう、先ほどの発狂したような行為を慎み静かになった。しかし足音だけは殺しきれないようで、耳を澄ませば拾うことは出来る。厄介極まりない相手だ。
再び近寄ってくる気配を感じ取った私は移動しながら思考し続ける。弱点らいき部位を見出せたのなら、今
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