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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っていた。
第十六話
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は神に最も近づいたクレア・パールスぐらいにしか発現しないだろうが。

 前世の記憶を持っていて、ほとんどのステイタスも引き継いでいる……ってちょっと待った。

「ステイタス欄から消えたって、どうやって確かめたの? あ、神聖文字(ヒエログリフ)を読めるとかかしら」
「当たらずとも遠からず、です。【転生】が消えた直後に発現した【愛情の証】というスキルで神聖文字の完全解析、ステイタスの更新を行えるんです」

 ……何というスキルよ。神たちが全知全能の力を封印した状態でもこの地で崇められている理由の一つ、神の恩恵を司るって、冷静に考えてヤバイスキルなんじゃ……。
 私の懸念が顔に出たのか、レイナはただし自分にしかできませんと補足した。それでも無償で神聖文字を翻訳できるって、専門大学に行かないと出来ない所業なのよね……。

 やはり生きる伝説は格が違ったのだ。

「その、それでなのですが……」
「うん?」
「私がクレア・パールスということは、口外無用としてもらえませんか……?」

 私は理解を超えた話をされて半ば思考が麻痺している状態だが、少し考えれば生きる伝説の復活というのは歴史上最大の事件である。それから話を聞いていくと、神セレーネの失踪は他の神による策略だと睨んでいる彼女からしたら、神セレーネの唯一の崇拝者であるクレア・パールスの復活が表沙汰になるのは何としても避けたい状況だ。
 そのリスクを承知で私に正体を明かしたのは私を信頼しているから、と思うのは自惚れすぎか。

「そういえば、私が薙刀を好きになった根本的な理由を、話してなかったわね」

 会話の流れ的におかしい返答をする私に、首を傾げながら頷いたレイナ。

「小さいころに迷宮神聖譚ダンジョン・オラトリアを読んだ時に、好きになった大英雄がいたのよ。その人が使っていた武器が、薙刀だったからなのよ」

 最初は記憶にある人物リストに検索をかけていたレイナだったが、数秒後に「あ」と小さな声を漏らして耳を赤くさせた。
 つられて頬に熱が帯びるのを自覚しながらも、私は続ける。

「憧れた英雄にお願いされたら、断れないわよ」
「改めて言われると恥ずかしいですね……気づいたらなってたから、あんまり自覚なくて……」

 何せ『私が目指した道が、たまたま英雄に繋がった道だっただけ』と言葉を残してたものね……。一番の理由が主神に報恩するため、二番の理由が主神を立てるため、三番の理由が人々を守るため、それがクレア・パールスが精進した理由だ。

 レイナは「ありがとうございます」と頭を下げた。私としては憧憬だった大英雄が目の前にいるということを認識するのにいっぱいいっぱいだから、頭を下げられたら何て返せば良いのか解らない。

 しかし、本物のクレア・パールスが
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