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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っていた。
閑話 第二話
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れ? これいけるんじゃね?」とか思った瞬間、そいつ負け組みなんだ。それが《新人殺し》の異名に実績を上塗りする結果になっちゃう。
 だから満を持してってやつだね。しっかり自分の腕を磨いて、コボルトが束になって来ようが冷静沈着の精神でこれを退ける、それぐらいの力がないとウォーシャドウには勝てないだろう。

『グオオ……』

 でも現実はそんなに甘くないんだよなぁ……。腕を磨くって言っても、それがコボルト専用の技だったら意味が無い。簡単に言えば汎用性の高い、どのモンスターにも有効な技を磨く、これが最も理想的。しかしそんな技術を磨く以前の問題で、モンスターを倒すことで精一杯の私がそんな余地はない。せいぜいイメージトレーニングとか素振りをして輪郭を作れる程度─それでも凄いおぼろげ─の上に、中身がすっからかんだから実践で全く使えない。
 負のスパイラルェ……。

『グオオオオオオ!!』
「何よさっきからうるさいわね! 私だって何とかしなくちゃって思って頑張ってるのよ!」
『グオ!?』
「でも仕方ないじゃない……他の人みたいに戦いに慣れるの凄い遅いし、不器用だし……」
『グ、グオ……グオ?』
「そう言ってくれる? ありがとう、少しすっきりしたわ。よっし! 早速頑張っていくわよ!」
『グオオ!』
「ってコボルトが何でいるのぉぉぉぉぉぉ!!??」
『グオオオ!?』

 ぶすり。ごめん、許せコボルト。君から得た経験値は無駄にはしない。

◆二年後

「あ、お帰りクレア。ご飯にする?」
「そうします……」

 ふらふらと覚束ない足取りでちゃぶ台に着いて、傍らに今日の稼ぎが詰まったバックパックをへなんと置く。 
 全身に覆いかぶさる激しい怠惰感によって今すぐにでも寝たい衝動に駆られるけど、寝てはいけない。寝たらセレーネ様にステイタスを更新してもらえない。
 セレーネ様曰く「最低限の生活リズムは崩しちゃダメ。体壊してダンジョンで倒れちゃったらどうするの」とのこと。確かに昨日の疲れが溜まった状態でダンジョンに向かえば、私ならすぐに死ねる自信がある。なんかダンジョンの床に寝転がったら知らない間に寝てて、知らない間に死んでたー、みたいな。うっわ、私なら本当にやりかねなくて怖い。遵守しますセレーネ様。

「はいどうぞ。それで今日はどうだった?」

 天井に吊るされている仄かな魔灯─魔石で作られた灯り─の光を浴びる銀の髪を輝かせ、胸元を大きく開けたカッターシャツと下着だけいう大胆な格好でキッチンから料理を運んできたセレーネ様。
 毎日ダンジョンに出かける私を外まで見送ってくれて─さすがにズボンは穿いて─帰ってくる時間に合わせてご飯を作ってくれる。そして帰ってきた私にいつも調子を尋ねる。毎日セレーネ様が何気なくしてくれている事が、家
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