第十四話
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を奪ってきたダンジョンの神秘だ。
十八階層は冒険者たちが初めて訪れる安全階層で、とりわけこの階層は『迷宮の楽園』とも呼ばれる美しい地形が広がっている。
南端に存在する連絡路の洞窟から森を越えて北上すると、まず現れるのは水晶が散在する大草原。階層の中心地帯には中央樹と呼ばれる巨大樹がそびえており、樹の根元に空いた樹洞から十九階層へ向かうことができる。
「どうするレイナちゃん。少し準備してから行く?」
「大丈夫ですか? ここ、凄いぼったくりしてくると聞いたんですが」
「まあ足元見られてるからねぇ。物資の調達というより、荷物の整理をするって感じで行きましょ」
【ロキ・ファミリア】の一行の後を付いて行く形で、大陸を切り取ったかのような高く巨大な島の頂上付近に《街》は築かれている。
中層域に到達可能な限られた上級冒険者が経営するダンジョンの宿場街だ。元々は大昔により能率的に階層を潜れるように画策したギルドの計画だったものがとある事情によって廃止され、それを女性冒険者リヴィラが勝手に引き継いで勝手に築き上げたのだ。
ギルドの目が届かない環境ということで、この街は無法者の冒険者らしく無法である。いけない薬や怪しい物品はもちろんのこと、ファミリア同士で密談するときにも用いられたりしている、まさに冒険者の街である。
で、この街で店を構えることでどんなに高い値で売ろうが、客である冒険者たちは己の生命線なのだから買わざるを得ず、地上ではありえない高水準の相場が形成されている。賢いと感心するべきなのか、ダンジョンの中に住み着くとはと呆れるべきなのか。さすが冒険者である。
「それでは私たちはこれで」
「あ、うん! またねー!」
買取所で魔石やドロップアイテムの換金をしに行くらしい一行と別れ、私たちは武器屋や道具屋が立ち並ぶ商店街の方へ足を向ける。
「おいおい、こんな出来で5万ヴァリスとか、相変わらずとち狂ってるわね……」
店を務める男の目の前で遠慮なく暴言を吐くナチュルだが、その男も自覚はあるようでにやりと人の悪い笑みを浮かべる。冒険者が経営するだけあって暴慢な街なのである。
回復薬や精神力回復薬も例に漏れず、地上ならば五本は買える値段を一本で売りつけてくる強かさに舌を巻きつつもナチュルが数本購入し、雑貨の取引を行っている店に入る。
「ふぅん、《超硬金属》が市場に出回るなんて珍しいわね。値段も地上と似たり寄ったりだし……買おうかしら」
「ま、待ってくださいナチュルさんっ! 値段、値段が凄まじいですよ!」
オラリオの一等地を買えるくらいの値段が並んでいるのが目に入っていないのか、競売に掛けられている
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