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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っていた。
第十四話
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。【ヘファイストス・ファミリア】のナチュル・ヴェリルよ」
「へぇ、ヘファイストス様のところにエルフの女性がいたのか」

 フィンが顎に指を掛けながら呟く。やはりエルフが鍛冶師というのは天然記念物レベルらしい。レフィーアも驚いたように両手に握る杖を握り締めている。

「それでなんで二人はここに?」
「賠償を免罪してもらうために、二十階層に用事があるんです」
「賠償? あたしたちと同じだね!」

 何でもアイズは怪物祭のときに【ゴブニュ・ファミリア】から貸与されていた剣を使い潰して破損させてしまったらしく、その弁償として4000万ヴァリスを請求されたそうで。その金額を稼ぐために深層に潜るところをティオナたちも同行した、ということらしかった。
 
 いざというときには借金返済の手助けをすると頼もしい言葉を残していったアイズにしらっとした目を向けてやると、少し気まずそうに目を伏せた。半ば他人事のように手助けをすると言っていたのに自分が借金背負ってどうするのよアイズ……。

 積もる話は省略して、私たちがここに蔓延っているモンスターたちのせいで足止めを食らっていたことを説明すると、アイズが名誉挽回とばかりに「任せて」と言い置き、疾風の如くモンスター群に突入した。

 いやぁ、レベルの差って残酷だねぇ。ミノタウロスたちが逆に逃げ出したくなりそうな一方的な戦闘でした。というか、もはや瞬殺と言っても過言じゃなくて、さすが【ロキ・ファミリア】のトップ戦力というところだろう。 
 私たちの侵入を拒んでいたモンスターたちは嘘のように姿を消して、いっそすっきりした大広間の奥の壁に空いた洞窟、次の階層の連絡路へ進んだ。
 
 傾斜を描く洞窟を抜け、十八階層に降り立った私たちを迎えたのは、頭上より降り注ぐ穏やかな光、そして木々が疎らに生えた森の入り口だった。モンスターたちが溢れる地下迷宮に相応しくないほど平和的な光と清浄な空気。
 冒険者が深層に潜るときに必ず活用される一階層まるごと安全階層(セーフティポイント)となっている十八階層である。

「いつ来ても綺麗ですね、ここは」

 森を始めとした自然を好むエルフの性か、頬を緩ませるレフィーア。リヴェリアはどこか懐かしそうに眺め、ナチュルは興味が無いのか特に表情の変化をさせなかった。

 現在の十八階層は一般に『昼』と呼ばれる時間で、階層の天井にびっしり生え渡る無数の水晶が地下の洞窟に光を齎しているのだ。この水晶が発する光量によって冒険者たちは『朝』『昼』『夜』の時間帯を決めている。地上とは少し時間のずれが生じるため、時差は大きくなったり小さくなったりする。
 発光する美しい水晶は十八階層の名物とされていて、この階層に冒険者たちが勝手に街を作った切欠の一つでもある。多くの冒険者たちの目
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