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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っていた。
第十三話
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も無く絶命し、少なくない血溜まりを床に広げる。
 集団戦になると滅法強くなるアルミラージだけど、単体になるとヘルハウンドより弱い。振り回した柄をクリーンヒットされただけで吹っ飛んじゃうんだから当たり前か。

「また増えたわね、面倒臭い!」

 通路の奥で二体のアルミラージを相手取っていたナチュルが毒づいたのを聞いて振り返ると、更に三体加わっており全員完全装備をしている有様だった。格下と言えど物量に物を言わされると苦しいものがある。すぐに駆けつけようとしたとき、背後から土砂を削る獰猛な音が押し寄せてきた。

『──ォォォオオオオ!!』

 巨大な岩石を彷彿とさせる球体が凄まじい勢いで突き進んできていた。防具の素材にも使われるほど堅牢な甲羅を持つアルマジロのモンスター《ハード・アーマード》だ。硬さは即ち攻撃力にも転ずるとは良く言ったもので、ハード・アーマードは体を丸めてボールのように転がることで殺傷力を飛躍的に上昇させているのだ。体を丸めたハード・アーマードは物理攻撃に対してほぼ無敵を誇り、高速回転する殻はこちらからの攻撃を全て弾き返し寄せ付けない。
 並みの冒険者なら裸足で逃げ出しそうな光景だが、生憎私が避けるとナチュルに流れ弾が及ぶから私が止めるしかない。

 ま、ミノタウロスの方が威力あるから問題ないでしょ。

 それを言われればハード・アーマードと言えど涙を禁じえない。遂に私と衝突する直前に右手と左手を突き出した。

 【水連】!

 最初に突き出した右掌にミノタウロスの突進より弱い─しかし十分挽肉にできる─衝撃が伝わってきて、それを回収。右手、腕、肩と連動させて衝撃を炸裂させずに体内を循環させて、左手に移動させて、インパクトと同期させて左掌を甲羅に押し当てた。

 ズガンッッッ!! という音と、ぶちゃっという音が重なった。

 体を丸めているせいで八倍になって返ってきた衝撃を逃がすことが出来ずもろに体内で炸裂させ、さながら爆弾で爆破されたように体を爆発四散させた。衝撃を吸収したとは言え勢いは殺していない。だから勢いのまま屍骸が私に当たらないように壁に衝突するように衝撃を返してあげて、結果アルマジロは壁面の染みと化した。硬いものほど衝撃には弱い。呆気なく粉々になった。

 ふぅ、さすがにこの体じゃ負担が大きいな。両手首がズキズキ痛む。こればかりはどうしようもなくて、前世では耐久にものを言わせていた。
 これでも【柔術】で衝撃を半分に減らしてるんだよ? それでも痛むのは今の私の耐久の薄さのせいである。

 ナチュルもアルミラージ相手に忙しかったみたいだから【水連】をしたことに気付いていない。今の音に驚いたように一瞬視線を寄越したけど、そのときにはすでにハード・アーマードが壁に激突していたから、その音だと
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