第十二話
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」
「え、ごめんなさい、何がですか?」
「そりゃレイナちゃん、鍛冶師が具合を尋ねたら武器の良し悪しに決まってるでしょ」
「すごく……使いやすかったです」
実際あの薙刀は業物だった以外にも、使用者のことをよく考えて設計されていて、柄を握る場所もビジュアル面も良いし滑りにくいように僅かな窪みを作ってあったし、頑丈ながらにしなやかだったから遠心力が乗りやすい上に下手にぶれないように材料が吟味されていたのは解った。
妙に詳しく私が語るものだからエイナが驚いたように小さく口を空けていた。一方ヴェリルさんは終始真剣に耳を傾けて小さく頷いたりしていた。話終えると長い耳をぴくぴく動かしながら耳の後ろを掻いた。
「うーん、やっぱあの薙刀、ミスってたみたいね」
「そうですか? 性能も威力も申し分無かったと思いますけど」
「作った趣旨が違ったっていうところ。元々あの薙刀の仮想敵はトロールのような大型モンスターだったから、それなりに想像しながら作ったんだけど……」
「言われてみれば刃が少し太すぎた気がしました。もう少し薄長くすれば使い勝手も良くなると思いました」
「あ〜、やっぱりかぁ。でもあれ以上長くすると今度は柄が無駄に長くなるせいで取り回しがキツくなりそうで踏み切れなかったのよ」
「確かに全体が長すぎると素早い入れ替えが難しくなりますからね……。手数を重視するなら多少柄が短くなっても刃を長くした方がいい気もします」
「そうすると刃の先に体重乗りにくいでしょー? 色々素材を組み合わせて重さとか調節してるんだけど、中々しっくりくるものが出来なくて困ってるのよね」
「材料で武器全体の重量を重めにして威力の調節、柄の短さをカバーするというのはどうですか?」
「それしてみたんだけど、実際使ってみるとダメみたい。はぁ、薙刀の黄金比はいつになったら見つかるのやら……」
「薙刀ってあんまり使われませんからね……作る人も少ないですし、少し残念です」
「そう言ってくれる冒険者がいると私は嬉しいね。他の武器を作ってるときより薙刀のことを考えてる方が好きだからやめられなくて」
罰金の話をしに来たはずなのに、唐突に薙刀について熱く語り始めた私たちに置いてけぼりを食らったエイナが驚いた顔のまま固まっていた。
それにようやく気付いたヴェリルさんは「あぁ、ごめん」と謝りを入れた。
「それで、賠償の話だったっけ」
「あ、はい、そうです」
「別に構わないよ」
「……はい?」
今度は私も驚かされる番だった。ぽかんとしているとヴェリルさんは美しい顔立ちに無邪気な笑みを浮かべて言った。
「元々金を毟り取るためにギルドに苦情吹っかけたわけじゃないし」
「え」
「あぁ、ガネーシャのところにはちょっと思うところがあったから便乗して賠償しろっ
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