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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っていた。
第十二話
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も赤い気がしますし」
「へあ!? だ、大丈夫ですよ!? 気にしないでください!?」

 前々から思ってたけど、ベルの悲鳴って中々ユニークだよね。「ほああああ!!」とか「へあ!?」とか。意外としっくりくるのが不思議だけど。
 心の中で首を傾げていると、ベルが消え入りそうな声で「ち、近い……です」と言ったので一歩離れた。彼の気持ちがよく解らない私である。



 ベルが気に入った装備を購入し、エイナが見繕った篭手をプレゼントしたところでベルが時間だということで帰路に着いた。
 
 さて、こっからが本題である。

「どうも、そちらが私の作品を使ったっていう子?」

 エイナが予め連絡を入れていたのか、八階の一番奥にあったテナントに行って面会を頼むとあっさり通され、その部屋に待っていたのが彼女である。
 濃い目の茶色の髪を後ろで一本に纏めて、ついさっきまで鍛冶をしていたらしく白い頬に煤こけた炭が付いていて、隣に座るエイナと同じ長く鋭い耳を持った端正な顔。首から下も作業服のままで黒ずんでいる箇所が沢山あり、女性らしい盛り上がりが目に留まる。つまり、彼女はエルフの鍛冶師だ。

 エルフは自分の種族の誇りを強く持っていて、自分の里を出ることすら稀な亜人として知られている。出てきた数少ないエルフも身だしなみは常に清潔を保っており、種族特有の優れた容姿から他種族から数多い人気を博している。
 そんなわけだから、女性のエルフの鍛冶師というだけでも凄い希少種なのだが、当の本人は汚れた作業服なぞ気にしていない風で、むしろ大胆に足を組んで口調も随分砕けているせいで誇り高いエルフという印象が崩れていく。

 少し釣り上がった眉尻を撫でながら言った彼女に、エイナが代弁するように紹介した。

「先日連絡を差し上げましたとおり、例の事件でヴェリルさんの作った薙刀を使ったレイナ・シュワルツです」
「初めまして、レイナです」

 ぺこりと頭を下げると、ヴェリルと呼ばれた女性鍛冶師は「ふむ」と一つ息を付いた。
 部屋に入ったときから眉尻が釣りあがってるせいで怒っているのかどうか解らない。

「話には聞いてたけど、本当に小さい子ね。いくつ?」
「13歳です」
「へぇ、若すぎるのによくトロール倒せたものね」

 お、この人は素直に信じてくれるのか。ずっと疑われてたから嬉しい。私の気持ちが顔に表れたのか、ヴェリルさんはにっと口角を釣り上げた。

「私の武器を使ったんだ。トロールくらい倒してくれないと困るわ」

 あ、はい。仰るとおりあの薙刀、めっちゃ強かったです。トロールの厚い脂肪がバターのように斬れてびっくりしました。
 少しだけ上げて落とされた気分になった私だが、ヴェリルさんは続けてこう言った。

「それで、どうだった?
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