第十二話
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半円形の広場で待ち合わせたら、なぜかそこにベル君が立っていた。
少し頬を赤くして私とエイナを交互に見回して、子兎のように慌しく手を意味もなく開閉させている。そんなに今の私は変なのかな……。結構げんなりしてるから、多分そうなのかもしれない。
何せ今から不可抗力で罪を被せられたことに対して謝罪しに行くのだ。全く(ry
「顔を知ってるなら良かった。それじゃ立ち話も何だし早速バベルに行こっか」
「バ、バベル!? エイナさんってもしかして冒険者!?」
「違いますー。キミは本当に何も知らないんだね……。今日は役に立つ情報を掻い摘んで教えるね?」
午前十時という時間帯もあって大通りは賑やかで人通りが激しい。商店の大小関係なしにそれぞれの店の店員が盛んな呼び込みを行っている。そんな中を私たち三人が歩いていく。
歩く片手間にエイナの説明を聞いていると、どうやらエイナの用事というのはベルの装備を【ヘファイストス・ファミリア】で見繕うことだったようだ。ご存知の通り超高性能の代わりに超高値段として知られているヘファイストスの武具と聞いてベルが軽く発狂したけど、実はヘファイストス様は入りたての新人にも自分の作品の見せ場を用意しており、それがバベルに並んでる支店にあるわけだ。いくら【ヘファイストス・ファミリア】の一員と言えど鍛冶の腕としては新人の域を出ない、だから値段も抑えられて新人冒険者たちにも手が出せれるようになっている。新人鍛冶師にとっては自身の作品の評価を得られるチャンスとして、新人冒険者にとっては新人鍛冶師と繋がりを持てるメリットがある。良く考えたものだと思う。
一つ一つの話を聞くたびにベルが大げさなリアクションを取るが、それが本心でやっているのだから私も驚きである。彼とは何度かダンジョン内で会っているから、それだけ彼もバベルに足を運んでいるはずなんだけど、本当に何も知らなかったらしい。見た目に違わず少し抜けてるっていうか、何と言うか、彼らしい。
そうこう言っているうちにバベルに着き四階に来た。【ヘファイストス・ファミリア】は四階から八階まで全て貸しきっており、その全てが武具店だ。これだけでいかに勢力のあるファミリアか思い知らされる。
ベルが傍に置いてあった武器の値札を見て気が遠のきそうになっている。私はその値札に書かれているくらいの罰金しないといけないんだぜ……?
人知れずため息を付いていると、
「……何やってるんですか、神様」
「……」
紅い制服を身に着けたヘスティア様がいた。部外者である私とエイナが二人が見詰め合っている光景を傍観していると、先にヘスティア様がひくっと店員スマイルを引き攣らせた。
「いいかいベル君、今ここで起ったことを全て綺麗さっぱり忘れて、目と耳と鼻を塞いで大人しく帰るんだ!」
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