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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っていた。
第十二話
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 一応私の味方であるはずのエイナにも疑いのまなざしを向けられるし……不幸極まりないな。

「信じるために聞くけど、レイナちゃん、キミは私に黙ってどこまで潜ったの?」

 聞こえが良いように言ってるけど、その顔を鏡で見てきたらそう思ってないことがバレバレですよエイナさん……。眉根を寄り合わせて怒気すら感じさせる気配を撒き散らしているエイナに、不幸に不幸が積もって理不尽を感じていた私は思わず口が滑った。

「十四階層です」
「へぇ、十四階層? それでトロ───は? 十四階層?」

 ぴたりとエイナは動きを止めた。きょとんと目を丸くさせる。私の咄嗟の発言の意味が解らず、時間を掛けて理解したところですぐに信用していない表情を浮かべる。

「あのねレイナちゃん、別にトロールをソロで倒してなくても、それが当たり前なんだから──」
「本当ですよ! 何なら証拠だって見せましょうか!?」

 さすがにこれ以上事実を嘘だと決め付けられるのは、自称オラリオの仏たる私でも鶏冠にくるものがある。思わず語気を少し荒くして身を乗り出して宣言すると、エイナは慌てて両手をぱたぱたさせて「解った解った」と言った。絶対信じてないでしょ、キミ……。
 少しぐれそうな私はむすっとして座りなおす。エイナは「もう私の常識は宛にならないかもしれない……」と小声で呟いて言葉を続けた。

「まあ、ひとまずそういうことにしておいて、問題はこの罰金なんだけど……」
「私、未だにその罰金について不満があるんですが」
「到底返せるものじゃないもんね……」

 いえ、その罰金が私に課せられること自体に不満があってですね。もう言うのも面倒臭くなってきた……。それにエイナの言う通り、天下一品を誇るヘファイストスの武具はそこらの金銀財宝を並べてもまだ足りないくらいの値を誇る。いくら半額になったとはいえ、それでも駆け出し冒険者が払えるような金額ではない。一体何年掛ければいいんだって話である。
 机の上に置かれた請求書を見て、二人してため息を零す。

「一回ダメもとで打診しに行ってみようか」
「え?」
「確かにギルドが下した処置は覆らないけど、請求してきた人が赦してくれるかもしれないから」

 あー、なるほど、その手があったか。何で不可抗力で起った事件なのに罰金しなくちゃいけないのかという不満をずるずる引きずりながらも、エイナの申し出に頷いた。

「それじゃ明日でいいかな? 丁度その日に【ヘファイストス・ファミリア】のところに行く用事があるから」
「よろしくお願いします」



「えっ、レイナさん、何でここに……!?」
「それは私のセリフですベル君」
「あれ? 二人とも知り合いなの?」

 翌日、オラリオ北部で、大通りと面するように設けられた
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