第十一話
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い冗談を言うなこの看板は! 触っただけで品質は落ちないよ〜嫌だな〜。それに試しに振ってみたりとかするでしょ〜? え、それもダメなの? おいおい手厳しいなぁ、ヘファイストス様のところの武具を買うときは注意が必要だな!
……触れるどころかモンスターに斬り付けた場合は例外になるかな? ほら、一周回ってオーケー的な。無いな。
表情の変化が乏しいアイズも、こればかりは凄く気遣わしい目線を送っていた。一級冒険者たる彼女は当然知っている。ヘファイストス様のロゴが入っているということは、ヘファイストス様直々にその武具の性能を認めた証、つまり高級ブランドと名高い【ヘファイストス・ファミリア】が送り出す作品の中でも更に一級品であるということを。そして、そのお値段は一番安いものでも0が6つ付くということを。
一級冒険者でも中々手が出せない、いわば冒険者たちの垂涎の的である武具は、間違っても駆け出し冒険者が買えるような代物でも値段でもない。
なお、こういった購入時のトラブルにおいて、客観的に見て非がある側に罪は科せられ、一生掛かってでも賠償しなくてはならない。
つまり、今私の手に握られている薙刀は、現在私が抱え込んだ莫大な負債である。
「……アイズ?」
「何?」
「ちょっと相談があるんだけど、良いかな?」
「お金の相談以外なら乗れる」
酷い!? あんまりじゃないか!! 不可抗力というやつだよこれは!? そ、そうだ、客観的に見て非がある側は、どう考えてもモンスターの管理を怠った【ガネーシャ・ファミリア】じゃないか!! ええい、こうなったら体裁なんて構ってられるものか!! 全力でギルドに泣きついて責任を擦り付けるぞ!! 今のお財布事情でこんな爆弾抱え込んだらオラリオ追放どころかお父さんお母さんにまで迷惑が掛かるのは目に見えてる!!
あわわわわと今から必死に頭を総動員させて言い訳を考える私に、アイズは少しおかしそうに小さく吹き出した。
「暇があれば返済の手助け、してあげれる」
「ほ、本当!? それは助かるよ! いや本当に!」
─なお、アイズの頭の上には4000万の罰金という飛来物が音もなく自由落下している最中なのだが、それは翌日の話─
いやあ、持つべきは友だね! 前世の私も見習って欲しいものだよ! ただし借金返済の手助けを乞う友達は持ってはいけないと思います。
「でも良いの? アイズ、結構忙しいんじゃない?」
一級冒険者というのはそれだけでも忙しいものだ。冒険者依頼など優先的に収集を受ける他、【ロキ・ファミリア】ぐらいの規模になると団員の生活を維持するための資金やギルドからの徴税がくっそ重い、そのための資金集めとかも忙しいと聞く。前世のときは【セレーネ・ファミリア】は私し
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