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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っていた。
第十一話
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くて【剛術】とか【対大型モンスター】といった発展アビリティに思い切り助けてもらってる身としては心苦しい限りだけど、少し見栄を張らせてもらえばこの戦闘技術は正真正銘何の手助けも無かった頃に血反吐を吐きながら編み出したものだ。それを素直に褒められれば、やはり素直に嬉しい。

 と言っても己の技術だけで戦うのが美徳かと言われればそうでもなく、むしろただの馬鹿である。なぜなら神々が齎す恩恵によって急激に力を付けた人類がその恩恵を使わないというのは合理的でない。自分が培ったステイタスを使って、習得した魔法やアビリティを駆使して戦闘したほうが圧倒的に建設的だし合理的だ。現に私もレベルが高くなるにつれてそういった戦闘スタイルになった傾向がある。

 それでも己だけの技術を磨いたのは、私は格上のモンスターと戦い続けざるを得なかったからだ。どれだけ膨大なステイタスがあろうと、自分のステイタスを上回る敵と遭遇すれば適わない。ステイタス頼りで戦っても相手のほうが勝っているのだから負ける道理だ。
 そこを何とかして覆さないといけないというときに必要なのが、私の場合は自分だけの技術だったということだ。

 アイズのような才能もあり努力も出来る人であれば、そのうちさっくりと深層の階層主も一人で倒せると思う。天才というのは誰も思いつかないことを平気で思いつくから天才と呼ばれる。凡才の私には全く解らない領域だけど、初見の物事に対しても最善手を閃くことすらできるだろう。それこそ私の体術だってあっさり習得できてしまうはずだ。

 盛大に話がずれたところで、関心を寄せていたアイズがふと私の握る薙刀に視線を向けた。

「……ところで、その薙刀、レイナの?」
「あはは、まさか。ちょっと借りただけ」

 【不朽】の影響もあってこの業物は刃毀れ一つせず、ほんの僅かな血が付着しているだけで、そのほかの損傷は見受けられない。強いて言うなら柄にちょっぴりだけ私の手形の癖がついちゃったと思うけど、そんなものは他の人が何回も使っているうちに消える。実質損傷0だ。
 我ながら中々の出来じゃないかと内心でうんうん頷いていると、アイズがとんでもないことを言った。

「ヘファイストスのロゴが入ってる武器って、買わないと触れる事も禁止じゃなかった……?」
「…………何だって?」
「確か、店先の看板に書いてあったはず」

 何か途轍もなくマズイ予感に苛まれている私を放っておいてアイズはちょこちょこと道端に倒れている緋色の看板を立ち直させて私にこまねきした。

「えっと……ここ」

 細い指が書かれている文章をなぞり、とある一節の下で指先が止まった。

『作品の品質管理のため、購入以外の目的で作品への接触は禁じる』

「……」
「……」

 あ、あははは、おもしろ
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