第十話
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ーは始まっていて、もうほとんどの人が闘技場に入場したのか大通りの人影は来るまでと違って随分まばらだ。
この様子だと闘技場もまんぱんで人っ子一人入れる余地すらないんじゃないかな……。ひとまず入ってみようかな。
そう思って入場門に一歩近づいたときだ。
「モ、モンスターだあああああああああああ!?!?」
凍りついたかのように、平和な喧騒に包まれていた大通りは一瞬言葉を失う。自然とその悲鳴の見れば、闘技場方面から伸びる通りの奥から、石畳を激しく蹴る音を従わせながら、純白の毛並みを持つ一匹のモンスターと、筋肉が膨れ上がってでっぷりと突き出たお腹を揺らし片手に人三人分の大きさを持つ棍棒を握り締める緑のモンスターが、荒々しく突き進んでくるのが見えた。
「……嘘、でしょ……」
何でだ。モンスターを地上から引っ張り出せるほどの腕を持つ冒険者たちの監視を潜り抜けて、更には拘束具すらも自力で外して飛び出してきたとでも言うのか。いや、それはないだろう。極最近から開催されるようになったと聞く怪物祭だからこそ念には念を入れて監視をするはずだ。そんな凡ミスをするはずがない。
でも、じゃあ、一体何がどうなっているんだ? 前世では地上にモンスターが出現して暴れまわる、という事件が私が知っている限り二件起っている。
一件目は元々古代より地上に進出していたモンスターが偶々帰ってきたというもの。もう一件はダンジョンを食い破って地上まで到達した《地中の帝王》の暴動だ。
前者はまだ私はLv.3になったばかりだったのでその冒険者依頼クエストには参加できなかったが、後者は私がLv.10になった数日後に出現したため私が先陣を切って討伐した。
しかし今回はそのどちらでもない。人間が自ら地上に引き上げたモンスターが解き放たれて暴れたのだ。こんな未曾有な事態、長い歴史を紐解いても見つからないはずだ。
そして何より解放されたモンスターの内容が酷い。片方はシルバーバック、十一階層にて出現するモンスターでつい先日倒したことがある。しかしもう片方のトロールは別だ。奴は二十階層〜三十階層の間に出現するモンスターで、Lv.1の冒険者はもちろんのこと下手なLv.2のパーティでも返り討ちにできるほどの力を持つ、正真正銘の怪物だ。あの棍棒に直撃すればミンチになればまだ良い方だ、踏み潰されて踏み躙られればこの世に肉片すら残すことは出来ないだろう。
よくもまああんなモンスターを調教しようと思ったもんだ。どうやって地上に引き上げたのか聞きたいくらいだ。
『ルギュギギギ……!!』
シルバーバックが進行を止め、ある一点を睨みつけていた。そこには、つい先日会ったばかりの白髪の少年と、彼の主神の姿。
冗談じゃないぞ……いくらベ
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