第十話
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て進む。西ゲートを監視するギルド職員と、猛者と知られている【ガネーシャ・ファミリア】の冒険者、その両組織の構成員を己の美で骨抜きにして無力化して侵入した。
理性では制御しきれない彼女の美はヒューマンや亜人はもちろん、神々にさえ及ぶ。その支配力は圧倒的だ。探険系ファミリア最強と言われる【ロキ・ファミリア】に対し、全ファミリア中最強を謳う【フレイヤ・ファミリア】の真髄こそ彼女の美である。彼女がその気になれば何人たりとも忘我の深淵に叩き落すことができる。
ただ一人のヒューマンの女を除いて。
フレイヤは大部屋の中心で足を止める。周囲にはモンスターを閉じ込めた大小のおりが幾つも並んでいた。捕らえられたせいで興奮しているのか四方八方から吠え声を浴びせられるフレイヤだが、被っていたフードを脱ぎ去っただけでけたましい声はぴたりと止んだ。凶暴なモンスターでさえ彼女の美の虜となりえるのだ。
「まずは貴方ね」
吟味するようになぞっていた視線がある一点で止まる。真っ白な剛毛を全身に生やしており、ごつい体付きの中で両肩と両腕の筋肉が特に隆起しており、フレイヤと同じ銀色の頭髪が背を流れて尻尾のように伸びている。《シルバーバック》と命名されている十一階層を住処としているモンスターだ。
これはベルの試練のために解き放つモンスターだ。次はあの女の検証体になってもらうモンスターを吟味する。
シルバーバックを見定めたその五秒後、フレイヤに新たに指名されたのは予め予定していたトロールだった。トロールと同じく二十階層以降に出現する《ソードスタッグ》も捨てがたかったが、トロールの方が総合的な戦闘力は高いと判断した。
無所属と銘打つ少女に対して、あまりに度が過ぎた判定を設定したフレイヤだが、その瞳と顔には冗談の欠片もない。慈悲もなければ躊躇も無い。己の絶対の美を容易く拒絶する存在にくれてやる気など、無い。
シルバーバックには小さな女神を追いかけてと囁き、トロールには黒髪が特徴的な小さな女の子を抹殺しろと厳命する。
鉄格子から解き放たれた猛獣はフレイヤに従うように一歩歩みでて、繋がれっぱなしの鎖が床をごりごりと削る。
「行きなさい」
自由奔放な女神の傍迷惑極まる気まぐれに命ぜられるまま、猛獣は咆哮を轟かせた。
◆
ようやく着いたぁ……。結局かれこれ寄り道していたら三十分以上掛かっちゃったよ。老舗が出している『じゃが丸くん』なる食べ物が意外と美味しかったから、ついね。クレア時代でこの食べ物が出回っていたらヒット商品間違いなかったね! あ、今度は小豆クリーム味なんてのがある。貰っちゃお。
こんな体たらくなので到着したときにはすでに祭りのテイムショ
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