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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っていた。
第九話
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、という名言が残ってるし。

「そろそろ、自分で歩けるので、大丈夫……ってあ」
「あっと、無茶しないでください。無装備でダンジョンに潜るなんて非常識ですよ? それも六階層まで降りるなんて……。勇気と蛮勇は違いますよ」

 言い返す言葉もありません……。力なく笑って見せると、レイナさんは「困ったなあ」と呟きながら膨れ上がったバックパックまで僕に肩を貸しながら歩み寄ると、よいしょと背中に背負った。

「すいません。私もこれを運ばないといけないので、これを飲んでください」

 腰に巻きつけていたビンを一つ抜き取ると栓を涼やかな音と共に弾き飛ばして差し出してくる。

「さ、さすがに悪いですよ……」
「怪我人をほったらかして荷物を運ぶ私の身にもなって下さい。飲んでくれないと、私は守銭奴みたいに見えてしまいます」

 やっぱりその中に入ってるのは魔石とかドロップアイテムなのか……。
 必ず返しますと断ってからそれを一気に呷った。疲労しきった体に染み渡る清涼は、僕のホームである古ぼけた教会まで帰るだけの体力を回復してくれた気がした。

「それじゃ、早いところ帰りましょうか」
「モンスター……出ないで欲しいですね……」
「全くです。いざとなったら私が戦いますのでご安心を」

 結局、モンスターもこの時間帯は就寝しているのか─そんな馬鹿なことは無いけど─地上まで帰る道のりでモンスターと遭遇することは無かった。

 ─僕はこの時、体に溜まっていた疲労で色々限界が来ていて気付けなかった。駆け出し冒険者であるはずの彼女が、どうしてこんな時間に、装備に傷一つ付けないでこれほどの魔石などを集められていたかを─



「で? ベル君、ボクはこんなにも胸が張り裂けそうな思いをして待っていたのにも関わらず大層な女の子を連れて、しかも朝帰りというのは一体全体どういう了見なのか詳しく説明してもらえるかな?」

 一人で帰れると言ったんだけど、「けが人を放って置けません。ホームまで送ります」と言って聞かなかったレイナさんにそれ以上言い返す気力も無く─甘えつつ─教会に帰ってきた僕を出迎えたのは、凄く心配した表情で丁度教会から飛び出してきた(ヘスティア)様。
 色々言いたいことがあっただろうけど、ひとまず僕の体の損傷がそこまで酷かったのか、先にシャワーを浴びて来いと命じられ、傷口がひりひり沁みながらもしっかり体を清めた僕を次に待っていたのは不機嫌丸出しの神様と、端正な可愛らしい顔を困り顔にしているレイナさんだった。

 僕が我武者羅にダンジョンに一晩中潜り込んで戦い続けていたこと、疲労で倒れそうになったところをレイナさんに助けてもらったこと、ここまで送り届けてもらったこと。全て話した。でも、僕がダンジョンに無謀な挑戦を仕掛けた理由は
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