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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っていた。
第九話
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に降りていく。モンスターとの交戦時間は少ないけど、さすがダンジョンと言うべきか一階層からしてめちゃくちゃ広い。まあ前世で何百万回往来した場所だから目を瞑ってでも次の階層に行けるけど、それも五階層あたりになってくると怪しくなってくる。見れば「あぁここか」って思い出せるんだけど、なにぶん何十年も前の話だから細かいところまで覚えてない。
 中でも驚いたのが六階層。何かそこらじゅうの床と天井に血が飛び散ってた。モンスターの血らしき気味の悪い色の染みはつい最近付着したものらしく、今まさにダンジョンに再吸収されようとしていた。ダンジョンがモンスターを生成するなら、モンスターの屍骸を吸収するのも道理。
 こんな時間帯でこれほど派手な戦闘をするなんて変わってるなぁと自分のことを棚にあげつつ六階層を後にした。



 ようやく十二階層を踏破。と言ってもLv.1、それも本当に初期値の基本アビリティの人が十三階層までソロで行けること自体おかしいんだけどね、さすがに約六十年の経験があれば誰でも行けるよ。

 で、早速壁からペキペキ言いながら現れた《リザードマン》三匹が各々違う武器を手に私を追い囲む。もう少し深くまで潜るとコイツらの上位互換《リザードマン・エリート》なんてモンスターが出てくるんだけど、下位互換であるリザードマンはエリートではないらしく、全体的に折れちゃいそうなくらい細いし胸当て(プレート)も着けていない。ただ共通しているのは予め武器を所有していることぐらいで、それでもエリートと比べれば劣った性能である。エリートか否かで差別化が酷い……きっと彼らの中にも私たち冒険者のような実力社会が築かれているのだろう。

 益体もない思考を巡らせながら、いいや油断してはならないと自戒する。前世では薄れていた感覚だが、エリートが付いていない彼らでもLv.2にカテゴライズされるほどのステイタスを持っている。Lv.2の中では最弱とは言え、Lv.1の最弱クラスの私にとって彼らの一撃は致命傷になりかねない。
 それにレベルが一つ違うだけでもモンスターの体の強度は格段に変わってくる。こんな細い体をしているリザードマンは十二階層に蔓延る筋肉質のオークより硬いのだから、レベルの影響は甚大である。
 つまり、さっきまでの感覚で【撥水】してりゃ勝てる、みたいに思ってはいけないのである。

 それにレベルが違うと知能も違ってくる。上層と呼ばれる範囲で出現するモンスターたちは滅多にやってこない連携を、このリザードマンたちは平気でやってくる。現に物量作戦を決行してくるわけでもなく、きちんと私を三方向から囲んで隙を窺うように己の得物をちらつかせている。

 久々に蘇ってくる緊張感に急かされて自ら突撃するなんて愚行は犯さない。私が両手に握る槍というのは間合いが命の武器だ。間合い
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