第七話
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ア】団長のフィンと副団長のリヴェリアは辟易しているのは団員の中では暗黙の了解だ。
しかしそういう唐突にスカウトされた子に限って後々非常に優秀な人材になっているので、ファミリアの先鋭隊たる彼らはロキの慧眼っぷりには各々舌を巻いている。
「主神の意向なら、私はそれで構わない」
リヴェリアが腕を組み瞑目しながら告げると、その他の団員も同じように頷く。ファミリアである以前に、彼らはロキという神を崇拝する眷属。ゆえにロキが命じたことであれば命ぜられるままに従う。もちろん明らかにおかしいと判断した場合は忠言を申し立てるが、それでもロキが命令すれば彼らは嫌でも動く。
相変わらずベートとアイズだけは反応が違うのだが、二人とも首肯もしなければ否定もしなかった。
それらを見届けたロキは満足そうに頷くと、一転して甘えるような声でレイナに擦り寄って腕をその華奢な肩に回す。レイナというとびくりと肩を竦め蛇に絡まれているかのように冷や汗を流しながらもなされるがままになる。
このとき女性団員は大なり小なりレイナにドンマイという感想を寄せた。
「なぁレイナたぁん、お願いだからうちに来てよぉー。三食おやつ昼寝付きやでぇ」
「おかしいなぁ、僕にはおやつと昼寝が付いていないんだけど……」
「フィンは黙っときぃ! レイナたん、頼む! この通りやで!」
ぱんと両手を軽く下げた頭の上で合掌し頼み込むロキに、曲りなりにも神であるロキに頭を下げられて盛大に慌てふためくレイナは凄い答え辛そうに、しかし確かに返答した。
「ご、ごめんなさい。お気持ちだけ受け取っておきます」
「そぉかぁ、残念やなぁ……」
心底落胆するロキにもう一度ごめんなさいと謝ったレイナに、際どい格好をするティオナが質問を掛けた。
「これだけ頼んでもダメってことは、どこか違うファミリアに志望してるの?」
ティオナの言葉に僅かな躊躇いを見せたレイナはそっと頷いて答えた。
「探しています」
「そっかー。じゃあ気が向いたらあたしたちのとこに来なよ! ロキが認めた子なら大歓迎だよ!」
「ありがとうございます」
それでティオナはこの話はこれでお終いと言わんばかりに並んでいる料理に手を付け始め、それを契機に他のメンバーたちも誰からともなく手を伸ばし始める。
さすがに遠慮しようと席を立とうとしたレイナだったが、フィンが「迷惑掛けた詫びっていうわけじゃないけど、一緒にどう?」と誘われたので、丁度お腹も減っていることなのでお言葉に甘えて席に座りなおし、再びメンバーたちが勝手にどんちゃん騒ぎをおっぱじめる。
人の会話がまともに聞こえなくなった頃合を見計らって、レイナは思い切ってロキに問うた。
「ロキ様」
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