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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っていた。
第七話
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あー、そろそろええか? 二人とも」

 口火を切った途端に繰り広げられたやり取りにアイズ以外目をしばたかせ、全員の意思を汲み取ったロキが語気が収まったところで呼びかけた。
 身を乗り出していたベートは「ケッ」と盛大に舌打ちながらも席に荒々しく座り、レイナも今のやりとりで疲れ切ったようにため息を漏らした。
 仕切りなおすようにロキが喋る。

「んー、まぁベートと仲良さそうやし、もう入ったようなもんやろ」
「ロキ様、さすがにそれは暴虐過ぎです」
「せやかてレイナたん、うちみたいなトップのファミリアからスカウトなんて中々来るもんやないんやで? そいや聞き忘れとった、レイナたんどこの神の所属なん?」

 ロキの言葉に疲れ笑いを零すレイナだが、最後に放たれた質問にその笑みを極一瞬強張らせた。メンバーの誰もが注目する中で起きた刹那だが、魂だけ長い年を食っているだけあって誰にもその強張りを悟らせることはなかった。

「……無所属です」
「えー!? それなのにダンジョン潜って帰ってこれたんか! はーこりゃ有望な子やでぇ!」

 この土地にオラリオが作られた当初、まだ神は下界に降り立っていない。つまり最初の冒険者たちは神の恩恵を受けることなく、正真正銘の生身であのダンジョンに立ち向かっていたのだ。今では神の恩恵を受けるのが常識になっているため生身で突入するのは常軌を逸した行為だが、本来は生身で挑まなくてはならないはずなのだ。たまたま神々が下界に興味を持っただけで、世界はこんなにも変わってしまうものなのだ。
 
 レイナの言葉に真っ先に疑いを掛けたのはベートと、アイズ。この二人はレイナ─厳密にはクレア─の体術を目の当たりにしている。しかしここで不幸なことに彼らは今のところレイナが回避した方法を体術ではなくステイタス頼りだと睨んでいる。ステイタスを頼らなくとも成せる技だと知っていればその誤認はしなかったのだが、残念ながら今は神の恩恵が人々の上下を別つ時代、その恩恵を最も受けている二人に気づけと言うのは酷な話だった。
 だが不幸中の幸い、ベートはその場ですぐには言及せず、アイズはもともと口数が少ないためロキの発言中に割り込むことをしなかった。

 うりうりとわき腹に肘をぐりぐりされるレイナは逃げるように椅子を僅かにずらし座りなおした。「ちぇー」といじけた声を漏らしながらロキは続ける。

「うーん、うちは是非入団を薦めたいんやけど、皆はどや?」

 ロキの眷属のほとんどの内心の声というと

『まず事情を話して欲しい』

 である。今に始まったことではないが、やはり神である限り自由奔放という性はあるのか、ロキはふらっと外出したと思ったらふらっと新しい団員を連れてきたりすることがままある。毎度それで雑務が増える一方の【ロキ・ファミリ
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