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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っていた。
第七話
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元に6000ヴァリスあるから少し贅沢もできそうだ。

 さてどこでご飯を食べようかと思ってメインストリートをのらりくらりと歩いていたときだ。
 人々が道の真ん中を空けるように端により、その奥から猛烈な勢いで走ってくる()()の少年が見えた。
 で、そのすごい見覚えのある少年は何を思ってか、俯いたまま全力疾走するという中々器用なことをしているせいで、その一直線上にいる私の存在に気づいていない。
 まぁ、私が横に避ければ良い話だけどね。

「あの、キミ───」

 ブーーーーーーーーン………

 ……速くない? 脱兎の如しとは本当によく言ったものだね。にしても……

「涙、ね」

 すれ違いざまに飛んできた水滴が、私の右手に付着した。粘液質じゃないから涎じゃないと思うけど、何でまた夜のオラリオで涙を流しながら全力疾走でバベルに向かっていくのかね……。
 思春期特有の何かだろうか。私はもうとっくに過ぎてるから解らないけど。
 名前すら知らない少年だけど、一度ダンジョンの中で死線を潜り抜けた知己だ。それなりに気になるけど、今はお腹空いてるから後でね。
 周囲の景色を置き去りにして走り去っていった少年の背を見送った後、歩きを再開しようと向き直った先に、また思いも寄らぬ人が立っていた。

 夜の闇を払うような輝きを帯びた金髪。触れれば壊れてしまいそうな細い輪郭は精緻かつ美しく、御伽噺で出てくる精霊や妖精といった形容がしっくりくる少女。
 そして、その少女の背後から腹部に両腕を回して息がかかるほど体を密着させている、朱色の髪と瞳の女性。

「……ロキ、様……?」

 セレーネ様のご神友であり、同時に今では探索系の頂点に君臨するファミリアの主神、ロキ様が目の前にいた。
 
 思わぬ巡り合いに呼吸をするのも忘れ、もつれそうになる足を必死に動かしてロキ様の前まで走った。自然と呼吸が早くなるなか、ロキ様に体を弄られている金髪の少女は私の姿を見ると、困った顔で腹に回された手をひねり肘鉄、ロキ様が後退したところでその頬っ面へ張り手を──ってぇえ!?

「ちょ、めっちゃ乱暴にしとるやん……!? 表情と行動がまったく噛み合ってないよアイズたん……!?」
「公衆の面前で変なことしないでください」

 もみじが焼き付けられた頬を押さえてプルプル震えたかと思うと、すぐに復活して「クーデレなアイズたん萌えー!!」と叫びだした。

 あぁ……ロキ様だ……! 同じ女性にしか興味を持てないロキ様だ……!!

 ロキ様の覚え方が酷いのは気にしない。つい目の前で繰り広げられていたように、ロキ様はそういった方なのだ。仕方ないね。
 でもあまりの不変っぷりに安心したよ……その他の環境が変わりすぎてて本当に困っていたところだっ
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