第三話
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それで納得してくれたようで、困ったように顎に手を添えて「近年まですっごい希望者がいたから気にしなくて大丈夫」と許してくれた。
それから冒険者になるための手続きをしたいと申し出ると、もはや驚愕を忘れてしまったらしく首を傾げて「どういうこと?」って素直に聞きなおされちゃった。受付として大丈夫かなぁと思ったけど、また思い出したことにこの体はレイナ・シュワルツ。十三歳のいたいけな女の子である─なお心は九十歳の皺くちゃおばあちゃんとのこと─から、冒険者に志願するにはあまりに早すぎるのだ。だから親しみやすいように口調を砕いてるし、配慮もしっかりしてくれているんだ。
もしかして冒険者指導施設にあった補佐科の名残があって今でもどこかに似たような指導施設があるのかもしれない。
まあエイナから散々反対されるわけで。あまりにも立て込みそうだからと言ってロビーに設けられた小さな一室にお互い椅子に付き、テーブルを挟んで向かい合って口論を続けた。
一時間くらい続いたから省くけど、結果エイナが折れた。ふふ、まるで『十三歳とは思えないくらい口が回るわね……』と思ってる顔をしてるけど、ところがどっこい! 実は九十歳です! こんなテンション高いおばさん嫌だなぁ。
必要事項を要項に書き込んでいき、最後に所属ファミリア名の記入が迫られたが、私は断腸の思いで無所属と書き込んだ。
ダンジョンに潜るのだけは絶対ダメ! どこかのファミリアに入れてもらったら私に報告すること! それからダンジョンに潜るときは私に一声掛けること! いいね! と物凄い語調を強めて注意された。私の口が回る前に先制を仕掛けたということだ。
素直にエイナの言葉に首肯し、冒険者のライセンスを貰ってギルドを後にした。
◆
うーん、ダメだ。調子が出ない。
はい。当然のようにエイナの言いつけを破りました。申し訳ないと思ってるけど、私はもうすでに【セレーネ・ファミリア】に所属している身だから問題ない。まあ声を掛けろと言われた上に無所属と嘘の申告をしたから言い訳にすらなってないけど。
ギルドの支給品を受け取って最低限の装備を揃えた私は、早速第一階層に潜ったけれど、コレが中々難しい。
基本アビリティの有無は全く問題ないんだけど、今の私の肉体に最適な技術じゃないからどうしても技がぎこちなくて、どうもしっくりこない。前述の通り前世の私が築いた動きは前世の私の肉体に最適の動きを刻み込んだ技術だ。食い違いが起きるのは当然のことと言えた。
今日中に勘を取り戻して五階層あたりまで行きたいなぁと思ったけど、こりゃあダメだね。一週間とか、それくらいの時間を掛けて取り戻さないと。動きだけじゃなくて、そもそもスパンが挟まったせいで技術の風化も見受けられる。前世の私が見たら嘆きのあ
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